◇3バックと4バック・その3◇ 12.30結局、簡単な言葉になってしまうけれど、システムを決めるのはやはり選手なのだ。同じマンツーマンの3バックでも、真ん中へ井原が入るかネッドが入るかで全く違ったやり方になってしまう様に、3バックでも4バックでも、そこに当てはめられる選手によってその内容は変わっていく。ある程度選手を選べる代表チームと違い、クラブチームは補強という手段があるにせよ基本的には決まったメンバーで戦う事になる。だから、そこに居る選手の特徴を良く理解し、適正に合ったシステムを採る事が最も必要なのでは無いだろうか。 坪井・ニキフォロフ・室井・小林・闘莉王・堀之内・内舘。これが今年のウラワで最終ラインで仕事をした選手と、補強により獲得した選手だ。ここから見えてくるものを考えるだけで、結構楽しかったりする。中盤との連携はどうなのか、チーム全体がどの様な方向性で戦うのか、考えられる事は山ほどある。自分がフットボールを好きでいて幸せだなと思える時間で、この様な時間を大切にしていきたい。来期はキャンプから代表選手や五輪代表選手が抜けてチームの構築はとても大変だろうけれど、ギドとエンゲルスが補強を含めた戦力をどの様に料理してくれるか、今から凄く楽しみだ。 明日は、所用がありまして更新できません。ですから自動的に、これが今年最後の更新となります。リニューアルしてからまだ3ヶ月弱ですが、来年も今年同様“更新頻度だけが命”の体制は変わらずに行きたいと考えていますので、宜しくお願いいたします。こんな辺鄙なサイトですが、来年もご愛好の程を。それでは、良いお年を! ◇3バックと4バック・その2◇ 12.29昨日書いた様に、一括りに3バックといってもその内容は様々だし、それは4バックについても言える。昨今のフットボールでは、4バックならば綺麗にラインを引いたゾーンディフェンスである事が殆どだけれど、細かく見ていけば差異を発見する事が可能だ。 例えば、鹿島の4バックは恐ろしくその位置取りが深い。これはジーコを筆頭にするブラジリアンコーチ陣の統一見解なのだろうか、基本的に守備では一人が余るという約束事が必ずあって、特にセンターバックに入る二人のどちらかは、守備に回るとすぐにカバーリングの体制に入る。とても分かり易いし、理解する事も容易だけれど、実際にはディフェンスラインと前線が間延びしてしまう事が多く、とてもじゃないけれど近代的なフットボールとは言えない。鹿島は磐田と同様試合を有利に運ぶ事が多いから、それ程このディフェンスシステムの弊害が目立つ事は無いけれど、中盤の攻防に破れるとディフェンス組織に綻びが見られるのも、磐田と同じだ。まあ、鹿島の場合はディフェンスラインの選手達が年齢を重ね、瞬間的なスピードが足りないからこうなってきているとも言えるのだけれど。 逆に、瓦斯の4バックはジャーン・茂庭という身体能力の高いセンターバックを擁し、高いラインを保つ。このチームは全体的に攻撃的な色を打ち出そうとしているから、高い位置でのプレスが戦術の生命線となっていて、ボールを奪った瞬間から人数を掛けて攻撃に打って出る。だから必然的にディフェンスラインは高く保たなくてはならないのであるが、それは前述したセンターの二人に寄る所が大きい。ジャーンの高さと茂庭のスピード。そして、意外に思われるかもしれないが、ここのサイドバックはそれ程攻撃的ではない。4−5−1というサイドに人数を掛けられるシステムを採用しているから、サイドバックはより守備に重点を置いたプレーをして、攻撃は専ら前に居るミッドフィールドの選手に任せる。サイドバックは攻撃のフォローアップがメインで、オーバーラップはそれ程行わない。これも今年の瓦斯がディフェンスで安定した内容を見せた一つの要因だろう。Jの中で極めて現代欧州的なフットボールを見せているのは瓦斯だと思う。原ヒロミは嫌いだけれど。 他に4バックを採用しているのは、横浜Fマリと大分あたりだろうか。横浜Fマリも、中沢と松田という優れたセンターバックを有し、サイドはドゥトラと柳想鐵という外国籍選手が担う。瓦斯との大きな違いは、左サイドのドゥトラが攻撃のポイントとなっている所で、彼を生かす為に中盤の奥が中央により、遠藤・那須といったボランチは左サイドのケアをかなり高い頻度で行っている。言うなれば、昨年のレアル・マドリーに近いか。 4バックを成功させるために必要なのは、間違いなくセンターバックの人材確保だ。4バックはグラウンドにバランスよく選手を配置出来るため、基本的なシステムと思われている。しかし、現代のフットボールではサイドバックの攻撃参加が不可欠であり、その結果センターバックは相手2トップと1対1の関係になる時間が増える。それ故、3バックのディフェンダーと比較するとより高い能力が必要になってくる訳だ。例えばウラワの場合なら坪井とニキフォロフの二人のストッパーが相手をマークして、リベロのネッドがカバーリングとボールの配球を行う。4バックになれば、この三人で行っていた作業を二人でやらなくてはならなくなる。鹿島のディフェンスラインが年々後ろに下がって来ているのは秋田の衰えと密接な関係を持っているし、瓦斯や横浜Fマリが4バックを高いレベルで機能させられるのはセンターの人材が優れているからだろう。 ・・・また続きます。 ◇3バックと4バック・その1◇ 12.28徐々に補強も進み、何となく来期の陣営が見えてきたこの頃。皆様いかがお過ごしでしょうか。管理人の頭は来期のシステムを妄想し、脳内モルヒネ大放出中になっております。今年同様の3バックかそれとも4バックなのか。2トップなのか攻撃的に3トップなのか。ああでもないこうでもないと思いつきばかりが頭の中で渦を巻き。まあこんな時間も楽しいのだけれど。 今年のウラワはご存知の通り、2ストッパーの3バックだった。二人のストッパーは基本的にマーカーの受け渡しをせず、非常にタイトなマンツーマンディフェンスを行っていたのは周知の事実だ。そして一人余るスイーパーに関しては、昨年は井原が担い、今年はネッドが入る事が多かった。昨年の井原は、常にディフェンスラインの後方に位置し、完全なスイーパーとして機能していたけれど、今年のネッドは時と場合によりディフェンスラインの前よりにポジションを取り、攻撃にも多大な効果を与えた。この様に、同じシステムを採っていても、選手が変わればその内容も変化するし、単純に3バックと言っても凄く多様性がある。 例えば磐田の3バックは、センターに田中誠を据えて右サイドに鈴木秀人、左サイドに山西が入る布陣が基本だ。サイドの二人はスピードがあり、更に基礎的なボールコントロール能力が高い。磐田は流動的な中盤の構成から高いポゼッションを誇るので、攻撃する時間が長いという特徴があり、その中盤にはサイドを専門とする選手を置いていない為、必然的に攻撃時サイドのスペースを埋めるのはボランチやディフェンスラインの選手となる。だから、攻撃時に鈴木や山西はサイドを駆け上がらなくてはならないから、ディフェンス時にもそのサイドを変えて守る事は無く、ボランチとの連携で同サイドを守る。彼らはディフェンス能力も高いけれど、そのニュアンスはどちらかと言えば4バック時のサイドバックに近い。これは、磐田がチーム全体で長い時間ボールを保持出来るからこそ可能になっている事で、だから彼らが中盤を制圧されてポゼッションを失うと、ディフェンスの組織は意外な程あっけなく崩れる事がある。レベルの違いは歴然としてあるけれど、磐田の3バックは、数年前のオランダ代表やアヤックスに代表されるオランダ型の3バックにそのスタイルの源流を感じ取る事が出来る。 フィリップ・トルシエが率いた日本代表の3バックは、言わずと知れた“フラット3”だ。選手は彼が在任中の4年弱の間めまぐるしく変わったが、基本的にフィードの能力に長けた人材を重用する傾向が強く、主なメンバーは中田浩二・宮本恒靖・森岡隆三・松田直樹らで、3バックながら完全にゾーンで守り高いラインを敷いた。トルシエの3バックは、相手の強弱によりその守り方が大きく変わるのが特徴的で、自らが支配出来る試合の時は3人の内の誰かが高い位置を取り攻撃に参加し、逆に押し込まれる展開になると中盤のサイドを片方下げて、ほぼ4バックという形にする事も多かった。案外理解されていないかも知れないけれど、実はこの3バックは非常に完成度の高いラインディフェンスが出来ていて、ラインの作り方やラインでカバーリングを行う姿勢など(ボールホルダーに対して3メートルの距離を空けつつラインを下げていく事とか)からもそれが見て取れる。中盤が吸収されて4人のラインになっても、破綻をきたさずに守れたのはその為だ。トルシエの3バックは、僕が知っている3バックの概念を大きく変えた。トルシエは色々な文献を読むと、就任当初は“ダニッシュダイナマイト”がやりたかったと語っているけれど、その実効的な3バックは、当時アンチェロッティが率いたユベントスの3バックあたりが頭の中に描かれていた様に感じる。 ・・・続きます。 あと、JOEさんから昨日のネタについて「小林宏は左利きだろーが!」という内容のメールを頂きました。その通りでございます。しかも小林は今年数試合スタメンで出てましたね。すっかり忘却の彼方へ飛び去っていました。すいませんです。あと、そのメールで山岸も左利きじゃないか? という話を頂きましたがそうなんですか? あれだけ右でボールを蹴っているので僕はすっかり右利きだと信じ込んでいたのですが。知っている方教えてください! ◇三都主◇ 12.27今日、清水が天皇杯に負けて全日程を終了したのを受けて、俄に三都主とアンの去就話が持ち上がってきた。現時点ではまだまだ白紙の様だけれど、彼自身は清水から出て環境を変えたいという気持ちがあるみたいだし、ウラワとしては更に積極的に獲得へと動くべきだろう。何しろ城定がベルマーレへ移籍してしまったから、現在ウラワには左利きの選手が三上しかいない。来期の新入団選手に左利きの横山が決まっているものの、現実的にJ1レベルでスタメンを張れるレフティーが一人もいないという状況はいかにも不自然だ。チームのバランスを向上させるためとして、フリーキッカーとして、三都主の加入はメリットが大きいと考えている。 確かに、今日の天皇杯で見せた出来の悪さや、審判に対する悪態など、余り三都主のイメージは良いものではないかも知れない。また、特にウラワと対戦する時には、対面する山田にあっさりと押さえ込まれるシーンが多く、今年後半かなりパフォーマンスを上げてきた平川のポジションと被る選手を獲得する必要性があるのかという疑問も拭えないだろう。しかし、単純に三都主の加入が平川のポジションを奪う事にならないのが理性的な考え方であると思うし、平川しかいなかった去年・今年を考えればチームのユーティリティーが増す事は明らかだ。もし、仮にギドが平川と三都主を同じポジションで使うと考えているとしても、それは競争激化になりモチベーションを高める一因になるだろう。一つ間違えれば首脳陣に対する信頼感の欠如にもつながるから、監督・コーチにはより繊細な配慮が必要になってくるけれど。 そして、やはり一番のメリットはプレースキッカーとしての才能だ。今年のウラワは、殆どセットプレーからの得点が無く、それが膠着した試合を打開する為の大きな要素だと理解しながらも、そこで期待感を持つ事が出来なかった。オフトは専門にセットプレーの練習をしなかった様だし、それも彼の考え方なのだろう。しかし、そもそもの問題として、キッカーの質に大きな問題を抱えていたのも事実である。山田や山瀬がその任に就く事が殆どだった今年のウラワだったが、彼らを優れたキッカーと評するのは少し難しい。正確にコントロールされた早くて落ちるボールを蹴る事は彼らにとっては難儀だろうし、それを求めるのも酷な話だ。昨年までは誰も彼らをプレースキックの担い手として期待していた訳じゃないのだから。 そういう点で、三都主の加入は闘莉王とセットで考えた時に、得点力の飛躍的な向上を意味する。ウラワの誇るスピード系アタッカーががっちり守られた時、今年横浜が見せた様なセットプレーからの得点が、かなり現実的なものとなる。新加入の梅田も含めて、新たな得点パターンが増えるのは間違いない。 三都主は海外志向が強く、今までもプレミアからのオファーがあった事実もあるから獲得は難航するだろうけれど、今のJで彼を超える左足の精度を持った“日本人”を探すのは難しい。もしウラワが獲得する事が出来れば、今までにない大成功の補強だと僕は考えている。 ◇お知らせ・その1 先日、ドメイン取得の話をしましたが、実はその時弊サイトのドメインも取得しまして、今後はそっちへ移転したいと考えています。これも元旦から行おうと思っていまして、面倒くさいとは思いますが移転後もよろしくお願いします。しばらくの間は今のドメインと移転先のドメイン両方にコンテンツをアップしていく予定です。 ◇お知らせ・その2 皆さんに謝らなければならないお知らせです。皆さんからオフトへのメッセージを募集していましたが、直接オフトへ会って手渡しする事が出来なくなってしまいました。個人的な理由も大きいのですが、天皇杯緒戦でウラワが負けてしまった事もあり、オフトとコンタクトを取るのが非常に難しくなってしまい、大原へ直接出向くという方法もあったのですが仕事の関係もあってそれも出来ませんでした。幸い、知人がウラワの広報の方を知っていて、その方を通じてメッセージは既に渡してあります。本人からのレスポンスは期待出来ないと思いますが、何卒ご了承頂ければと思います。 ◇基礎◇ 12.26先日に引き続き、また雑誌の話だから恐縮なんだけれど、今日遅まきながらサッカーダイジェストのオフトvs大将対談を読んで、また胸が熱くなった。 細かい話は抜きにして、大将だからこそ出来た対談だったと思う。オフトがここまで話すとは思わなかったし、たかだか4ページの特集だけれどオフトの本音が少しだけ見えた気がする。ただ思ったのは、オフトは想像以上にタヌキであり、未だに彼が本当に何を考え話しているのか、理解するのが非常に難しいという事だ。彼が持つフットボールの哲学は、表面的に面白味が無く単純なものだと思われる。余り難しい事は言わなかった筈だ。単純な事だというのは、僕もそう思うし、だけれどもそれが本質だとも思う。 フットボールにおいて、必ず身に付けておかなければならない事はそれこそ無数に存在し、なおざりにされがちなそういう事象を、忠実にレッスンし続けたのがオフトだった。斬新な言葉や奇抜なシステムに目が行きがちな僕にとって、彼のレッスンは初め理解しにくかったのも事実で、何故あそこまで単純な事を注視するのかが解らなかった事もある。しかし、オフトが就任した当初のウラワで、なおざりにされていた“須らく身に付けるべき基礎”が出来ていたとは言い難い。そして、それは今のウラワに対しても言えるし、Jや日本全体においても言える事だろう。僕らが表面的な要素だけを見て、刹那的に“楽しい”と思える事も、それは基礎的な積み上げがあって始めて継続的なものになる。偶然、美しいパスが繋がりとても美麗なゴールが決まった事があったとしても、その後ろに基礎という裏付けが無ければ果たしてそれを繰り返し見せる事が出来るであろうか。多分、真実はそこにある。 この2年間、オフトに対しての評価は分かれる事だろう。ネガティブな評価がある事も理解している。でも僕個人としては、この2年間ウラワがオフトに教えを乞うたのはとても幸せな事だったと思っているし、それはこれからのウラワにとっても非常に重要な事だと考えている。彼の辞任は凄く残念だったけれど、少しだけ冷静になった今、彼が遺してくれた貴重な財産を、ウラワは生かし更なる発展をしなくてはならないと思う。そして一番重要なのは、選手たちが何故自分にこういう役割が与えられているのか、ある状況下でどうしてこの様なプレーを選択するのか、常に考えながら実行していく事だろう。言われるがままでは成長はあり得ない。選手に考えながらプレーする事を浸透させていったのもまた、オフトなのだ。 ◇ディフェンダーとビルドアップ◇ 12.25今年のウラワには、ネディエリゴ・ゼリッチという稀有なリベロが存在した。ウラワが今年あれだけポゼッションを高め、試合をコントロールする事が出来る様になったのも、彼の存在が大きい。しかし来年彼は居ないし、今年は良く見る事の出来た、安定したディフェンスラインでのボール回しからビルドアップするシーンを、来期も同様に見る事が出来るか心配な所だ。闘莉王が加入したとは言え、彼がいきなりネッドの代役を務められるとは思えない。ネッド程の安定感を求めるのは酷だし、ディフェンスライン全体のレベルアップが必要になってくるだろう。 そこで個人的には、来期坪井に大きく羽ばたいて欲しいと思っている。昨年新人でいきなり開幕からレギュラーを掴み、それこそ破竹の勢いでこの2年間を過ごしてきた坪井。1年目はそのスピードを生かしたディフェンスで余計なファールをせず、イエローを一枚も貰わずに新人王に輝いた。2年目の今年は初の警告こそ受けてしまったものの、相変わらず全試合に出場し、チームのナビスコ杯獲得に大きく貢献しただけでなく、代表でもほぼレギュラーに定着してしまった。最近の大卒選手でここまで順調にキャリアを重ねてきた選手は珍しく、逆に言えば順調すぎるくらいだ。 坪井はオフトのマンツーマンディフェンスシステムに素早く適応し、高く評価されるスピード以上に、粘り強いディフェンスと理知的な頭を生かした読みベースの守りで、守備に関しては本当に高い安定感を誇る。稀に集中力を切らしてマークを振り切られる事もあるけれど、基本的に守りの面では安心して見ていられるディフェンダーになってきた。しかし、こと自分でボールを扱う段になると、その安心感はあっさりと打ち捨てられる。 インサイドキックの精度はそこそこだし、ドリブルの技術もそれ程低い訳ではないから、一人でボールを持っている分には大きな問題が起きる事はない。ただ、30メートルを超えるボールを蹴る事がほぼ不可能で、ごく稀に蹴られるそういったボールは軌道・スピード共にちょっと目を覆いたくなる程で、変な回転が掛かっていてお世辞にもJ1レベルに達しているとは言い難い。1年目は井原が、2年目はネッドが、それぞれディフェンスラインからのボールを一挙に引き受け、責任を持って攻撃の取っ掛りを作っていた。坪井はある程度相手のマークに専念する事が出来ていたし、またそれを全うしたから今の彼がある。ただ、来年は彼らにの代役となる、責任を持ってビルドアップの中心になる選手はいないし、ニキも含めたディフェンス全員が高い意識で攻撃にも望まなければならないと思う。その中で、やはり坪井には長いボールの精度を少しずつでも上げていって欲しいし、そうなればプレーの選択肢が広がってポジションの制約も無くなってくるだろう。 今年は隣にネッドという凄いお手本が居て、代表に行けば宮本という同国人の先達が居て、坪井からすれば学び取るのに十分な選手たちに囲まれた1年だったと思う。坪井は非常に学習能力が高く、さらにそれを体現する身体能力にも恵まれているから、来期はびっくりする様なボールを蹴る姿を見せてくれるだろう。達也がエメルソンから学び取った様に。坪井の進化はチームの進化に直結し、更に坪井自身のキャリアに大きな影響を与えると思う。 ◇クリスマス・イブ◇ 12.24今日、ウラワの特集が組まれているという「サッカーズ」をやっとの思いで手に入れ、熟読した。見慣れない真っ赤な表紙はその時点で既に僕の心を捉えたし、ページをめくる度に喜びの感情が噴き出して来た。今までウラワ関連の書籍は数多く出てきたけれど、雑誌でこれだけまとまった特集をしたのは始めてだろうし、内容も表紙のインパクトに劣らず良いものだった。 巻頭で、河野さんがオフトが率いた2年間というタイトルでコラムを書いているのだけれど、これが秀逸。余分な脚色を殆ど付けず、凄く冷静にオフトとの年月を振り返っている。オフトがウラワに何を与え、そしてそこから何が生まれて行ったのかがとても解り易く書いてあって、僕が個人的に言いたかった事を代弁してくれているような気がして、とても嬉しかった。選手たちが考えてプレーするようになった事、例えば啓太が山田を追い越していくプレーなどが出てきた理由などもきっちり書いてあり、漸くオフトがやってきた結果を、良い面も悪い面も含めて正当に評価された文章を読む事が出来た。雑誌の特集とはいえ、少しのインタビューでお茶を濁す事無く、読み物としても非常に濃い内容に仕上がっているし、恐らくこれを作った編集部の中には間違いなくウラワサポがいるだろうと感じた。 手に取るまではさほど期待していた訳じゃ無かったから、実際に読んでみて出来の良さに感激した。気がつけば今日はクリスマスイブ。ちょっと早かったけれど、僕にとってはこの上ないクリスマスプレゼントになったとさ。 闘莉王のウラワ移籍が決定した。彼も五輪代表に選ばれ続ける可能性が高いから、来期のチーム作りはこれで一層難しくなったと言える。今日来期Jリーグの日程が正式に発表され、五輪予選はJリーグの間も続けられる様子で、以前から言われている通り、年初から長い合宿をやる予定にもなっている。最悪の場合キャンプからずっと五輪代表の選手が居ない可能性もある訳で、そうなると田中達也・山瀬功治・鈴木啓太・闘莉王と4人の五輪代表候補を抱えるウラワにとって、新人監督の初陣でもあるウラワにとって、非常に厳しい前半戦になる事だろう。僕らはそこで否定的なスタンスを取るのではなく、こういった経験が将来的に絶対有効だと確信する事だろうと思う。ウラワにとってこういった経験は初めての事だから戸惑う事も多いけれど、鹿島や磐田が通ってきた道だし、これも強くなる為の必須条項なのだろう。 あと、昨日お伝えしたドメインが浸透しましたのでご紹介。リンク先にも書いた様に、元旦から運営を開始したいと考えてます。今の所コンテンツは、「ウラワに関する戦術議論」「他のJクラブの戦術話」「海外クラブの戦術をお勉強」などを考えていまして、まあ余り多くすると管理しきれなくなる可能性が高いのでこんな感じに落ち着いています。と言う訳で、稼動し始めたらよろしくお願いいたしますです。 ◇日々是精進◇ 12.23結局天皇杯は、鹿島と磐田が準決勝まで勝ち残り。まあ、面白くもないけれど、彼らは今のところ無冠だから、最後に残されたタイトルを遮二無二取りに行くのは間違いない。鹿島は秋田や相馬が最後の大会だし、磐田にしても柳下監督がああいった形で辞任する事になったから、両チームともに何かしらモチベーションアップの材料がある。ウラワにもそういったモチベーションがあった筈なんだけれど・・・。 そうそう、名古屋の酒井獲得が正式に発表になった。レッズプレスには順調に補強が進むなどと書いてあったけれど、瓦斯の積極的な姿勢を見ていると順調だなどとは言ってられない気もする。今野も持っていかれたし。レッズプレスには少なからず期待しているから、クラブの太鼓持ちをする人材をどんどん淘汰してもらって、クラブに一番近い“辛らつな”意見が言えるメディアになって欲しい。有料のウエブコンテンツは、確かにクラブの擁護を受けないと存立が厳しいのだろうけれど、どこでも読める様な記事が沢山あったとして、それに対価を払おうという気持ちになる人がどれだけ居るだろうか。 全く話題は変わりまして、個人的な話を。ここ最近、レアルサンマリノのドメインを取得して面白い事になっているSOCCER UG FILES BLOGさんの動きに触発され、ある名前のドメインを取得してしまいました。まだドメインが浸透していないから紹介する事ができないのですが、ちょっと面白い名前で取ったので、以前ここで書いた「ウラワの戦術を議論する掲示板」はそこで運営しようと考えてます。また、メールアカウントを先着でプレゼント!なんてアイデアもありますので、ご期待下さい。 ◇専任コーチ◇ 12.22今日、某海外サッカー雑誌を読んでいたら、リヴァプールのオーウェンに対するインタビュー記事があり、ちょっと興味深い事が書いてあった。往年のウェールズを代表する、イアン“ワンタッチゴーラー”ラッシュがインタビュアーで、その彼が今リヴァプールでストライカー専任のコーチをしているというのだ。ストライカー専任のコーチなんて日本では今まで聞いた事が無いし、専任コーチなんてゴールキーパーだけだと思っていたから、少なからず驚いた。 今年、達也はオフトやヤンセンにボールを受ける前の動き方を散々言われたらしいし、またボールを持ってから何のためにプレーするのか、何度も指導された様だ。それだけが彼のブレイクした理由では無いだろうけれど、傍らに居るエメルソンという偉大な良き教材の存在と、オフトとヤンセンによる良い指導が奏功して、結果が出せるようになったのだと思う。ヤンセンは、トータルフットボールの中で主に守備的な位置でプレーする事が多かったから、もしかすると現役時代フォワードだったらしいオフトが主に指導していたのかも知れない。どちらにしても、今年達也がブレイクスルーした事に、指導者二人が大きく関わっていた事は間違い無い。また、エメルソンにしても、この2年間でプレースタイルは大幅に変わり、以前の仲間を無視するかの様なプレーは影を潜め、味方を有効活用出来る様になってきた。これもまた、指導者による所だろうと思う。 例えばオーウェンの様な才能は、それ程沢山現れる訳ではないし、仮に出現したとしてそれが最終的に開花するかどうかすら判らない。それでもオーウェンは見事にワールドクラスのプレーヤーとなり、今ではイングランドを代表するストライカーとなっている。そんなオーウェンですら、未だに専門のコーチに指導を受けながら毎日を過ごしているのかと思うと、「上手い奴はみんな中盤に行ってしまう」と嘆く事しきりな日本の土壌で育つフォワードとの差は、開きこそすれ埋まる事は無いだろう。この2年間、ウラワは専属のコーチを置く事は無かったけれど、それでも達也やエメルソンの成長振りを見れば、彼らが良い指導を受けたのは間違いないし、来期以降もそれを継続したい。 イアン“ワンタッチゴーラー”ラッシュは、そのキャリアの大半をリヴァプールに捧げ、華やかな選手時代を過ごした。そんな彼が、今度は同じクラブで指導者として力を振るう。しかも、選手時代に自らが活躍したポジションの専任で。 来期、ウラワの指揮を執るのは現役時代世界的に有名だった“ディフェンダー”であるし、この際ウラワにもストライカー専任のコーチを置きたいなと思う。そう、ウラワのOBには偉大なストライカーが居るのだから。 ◇エメルソンだけではない◇ 12.21昨日届いたナビスコのDVDを見ていてふと思った。セカンドステージ、あれ程僕らを熱くさせた田中達也が、ファーストステージでは殆どサブのメンバーだった事を忘れていた。そう言えば、去年の後半から今年の初めまで、永井は非常に調子が良かったし、久しぶりに切れのあるドリブルを見せてくれていたっけ。代表初ゴールも奪った。エメルソンとのコンビネーションはお世辞にも良いと言えるものではなかったけれど、それでもエメルソンを生かせるよう必死にプレーしていた永井を懐かしく感じた。 永井って、現場で見ていると彼の見せる“上を仰ぎ見る姿勢”や、途中でボールを追うのを諦めてしまうシーンに対してサポーターも過剰反応するきらいがあるから、評価が難しい。そして、ライバルの二人が十分以上の運動量を持っているから、永井の様なプレースタイルは正直受け入れ難いものになってしまっても何らおかしくない。 そう思って今日DVDを見ていたら、映像の中だと永井は良く目立っている。やはりあの身長だし、ドリブラーの多いウラワの中にあっても、ストライドが長く美しいドリブルはそれだけで見ていて楽しくなるし、それに結構な数チャンスメイクもしているのだ。最終的に得点に至る事が少なかったから余り記憶に残っていないけれど、彼は左右どちらのサイドでも十分活きるし、もっと戦術的に煮詰められればとても面白い存在になると思う。 先日、天皇杯で見た達也には疲れが見えて、Jリーグのディフェンス陣に恐れられた姿はついぞ見る事が出来なかった。勿論、相手のマークが厳しくなってきているのは事実だし、なかなか前を向いてボールを受けられなくなってきているのだろう。それでも、今年終盤の達也は体の切れが落ちている様に感じられた。それは無理も無い、プロに入りスタメンで試合に出るようになってまだ半年しか経っていないのだから。僕の記憶はとても曖昧だから、達也は既にレギュラーとして何年もやっている選手のような感覚になっていた。でも良く考えれば、彼はまだまだ発展途上だし、こういう波を何度も経験して安定した力を出せる選手へと成長して行くのだろう。 今年の初め、様々な思いを抱いて9番を背負った永井は、怪我もあったけれど達也にスタメンを奪われそれは面白くないシーズンだっただろう。セカンドステージスタメンを奪った達也にしても、終盤息切れしてエメルソン不在のチームを救う事が出来なかったという思いがあるだろう。来期に向けてフォワードの補強は無いだろうし、その必要もない。エメルソン頼みのチームと言われる事も含めて、今年また沢山の良い経験をした日本人フォワード二人が互いに切磋琢磨しあい、大きな可能性を見せてくれるだろうから。エメを含めたこの3人は、ウラワの宝です。 ◇勝負強さ◇ 12.20やっぱり鹿島は、最後に決めてくる。ロスタイムに得点したのが、まだ鹿島在籍暦が浅い中島たっだというのも、このクラブの歴史なんだろうな。恐らく、試合中にピッチ上にいる選手全員が負ける事など考えていないのだろうし、勝つために出来る事をただひたすらやっているのだろう。嫌いなクラブの一つではあるけれど、今日の様な結果を見ると、その勝負に対する執念は学ばせて貰わないとならないなと感じる。 今年のウラワは、カップウイナーになった事も含め、勝負強さは少しずつだけれどついてきたと思う。今まで経験してきて解ったけれど、こういうものって負けた悔しさ“だけ”の経験じゃ上には行けないんだろうなと感じる。“勝利の味”を知った上での敗戦は、次へと繋がる良い意味での経験になるのだろうけれど、単純に負け続けているのは経験にはならないと思うのだ。だから、今年ナビスコを取れたのは大きい事だし、リーグを取れなかったのも凄く大きい。だって、結局リーグを勝ち取る喜びを理解する事が出来なかったのだから。例年通りのオフになってしまった。 本来ならば来年は、前社長の塚本さんが設定した3年計画の最終年。優勝を義務付けられた年だ。現実は、ギドという新人監督を迎えてのシーズンになるけれど、それでも来年ウラワは必ずリーグを取らねばならないと思う。どんな手段を使ってでも。今年、ウラワは強豪の一歩手前あたりまで進んでくる事が出来た。それでも、ここ一番で勝てずにリーグ優勝を逃し、天皇杯は緒戦で退く事になってしまった。まだまだ、ウラワは勝ち方を知らないし、その喜びの大きさも知らない。 今年、エジムンド・山瀬・都築などを獲得し、今は三都主や闘莉王の獲得が噂に上っている。ウラワはそれだけの選手を獲得できる金銭的な余力があるのだし、チーム得点王とキャプテンを売り出さなくてはならないクラブもあるのだから、他サポから見たら妬みなどもあるだろうけれど、そんな事は気にしていられない。今ウラワに一番必要なのは“勝利”なんだ。金満と揶揄されようが、来期の監督は新人なのだから彼の負担を出来る限り少なくしてやる方が良いに決まっている。グランデ・ウラワを構築するには、本当にそろそろ“チャンピオン”にならないと。今日鹿島の戦いを見て、心からそう思った。 ナビスコのDVDが今日家に届いていたので、じっくり見た。何だいこれは。ナビスコカップオフィシャルDVDらしいけれど、中身はウラワ一色じゃないか。他サポは買うべきでないな。 ◇クロッサー◇ 12.19何の事は無い、僕は美しいクロスからの得点が好きだ。ドリブル突破からの豪快なゴールも捨てがたいけれど、アーリークロスからの得点も同じくらい好きである。クロスからの得点は、その性格上瞬間で決まる事が殆どで、刹那的にゴールネットを揺らす瞬間が僕にいつも衝撃を与える。 初めてクロスボールからの得点に驚きを感じたのは、94年アメリカワールドカップ、ブラジルvsスウェーデンの試合だった。確かこの試合の解説をしていたのが元代表監督の加茂周氏で、彼は試合開始当初から「ブラジルの2トップは上背が無いから、高いスウェーデンのセンターバックに競り勝つことは難しい。だから単純にクロスを上げても点は入らない」という様な趣旨のコメントを何回も話していた。確かに、ブラジルの2トップはベベットとロマーリオ。二人とも170センチに足りるかどうかすら怪しい小兵で、対するスウェーデンのセンターバックはパトリック・アンデションとヤン・エリクソンの185センチを超えるコンビ。傍から見ても体格の差は明らかで、ブラジルがどうやって足元から崩して行くのかが見ものだなと考えながら見ていた。 しかし、得点は意外な形から突然やってきた。ヨナス・テルンの退場で動揺するスウェーデンを押し込むブラジルは、右サイドバックの“ジョルジーニョ”が、良く曲がり、良く落ち、それでいてスピードのある精度の高いクロスを入れる。すると、高い筈のセンターバックの丁度真ん中にポジションを取ったロマーリオが、ほぼフリーの形でヘディングシュートをゴールへと突き刺す。ここまでブラジルの攻撃を0に抑えてきたスウェーデンにとっては、余りに衝撃的な失点だったと思われる。加茂さんも「頭で取りましたか!」と言ってうなった後しばらく黙り込んでしまった。 フォワードがどんなに不利な状況であろうと、それを上回る精度のボールを蹴る事の出来る選手が居れば、そのネガティブな要素を振り払う事すら出来るのだと、この試合で初めて判った。ウラワのフォワードも、同じように背は高くないし、一人居る身長に恵まれた彼も、決してヘディングが強いとは言えない。それでも多分、ジョルジーニョレベルのボールを蹴る選手が加入してくれば得点形態に変化が生じると思うし、それは戦術によっても変わってくるだろう。特に我がエメルソンはゴール前でのポジショニングも的確だから、良いボールさえ入ってくれば、頭での得点も増えるだろうと思う。 背が小さいから、などと初めから諦める必要はないし、得点のパターンは多ければ多いほど良い。それは、今年のウラワから学んだ事だ。来期、三都主が加入するかどうかはまだ判らないけれど、彼が今までのウラワには無かった、精度の高いキックの持ち主だということに間違いは無いと思う。もし彼が加入すれば、ウラワの攻撃パターンに変化が出ると思うし、そんな形も見てみたい。 ◇イタリアvsポルトガル◇ 12.18僕が本気でフットボールを見始めた1993年の冬、いつもの様にテレビ東京のダイヤモンドサッカーを見ていた僕は、また改めてフットボールの奥深さを眼前に突きつけられていた。アメリカワールドカップ予選最終節、イタリアvsポルトガル。今をときめくカルロス・ケイロスが指揮を執るポルトガルは、当時からちょっと多すぎだろうと言いたくなる程パスを回し、1対1では確実にドリブルで仕掛ける、個人的にはとても魅力的なフットボールを繰り広げていた。しかし、そんな魅力的なフットボールも、アリーゴ・サッキの手に掛かった余りにも統率されたイタリア式フットボールの前では、為す術無く敗れ去るしかなかった。 前にも書いたけれど、当時僕はクライフ率いるバルセロナの華麗すぎるフットボールに魅了され、今でもそれが僕の原点だ。当時の僕には、ポルトガルにバルセロナと似たような匂いを感じていて、リズム感溢れるパス回しやドリブルの仕掛けなど、見ている側には面白いと思わせる要素が沢山あった。そこかしこにラテンの匂いを漂わせるポルトガルを好ましく感じていたし、イタリアの方が知ってる選手は多いけれど、何となく心情的にはポルトガルを応援しようと思いながら、テレビの前に陣取った。 しかし試合が始まって数分で、その思いは吹っ飛んだ。イタリアが見せる、“完璧な”ラインディフェンス。気持ち悪いくらい統率されたそれは、トップからディフェンスラインまでが必ず30mの距離を守り、3ラインはそれぞれ全く崩れる素振りを見せない。ポルトガルが高いキープ力を生かして執拗にポゼッションをしようと試みるも、その殆どが高いプレスラインに摘み取られて行き、どんどんリズムを失っていく。逆にイタリアは完璧に制御された所謂“ゾーンプレス”によって高い位置でボールを奪っては、素早いカウンターに繋げて行く。外れはしたものの、ロビー・バッジョの驚異的なフリーキックも拝む事が出来た。 結局試合は“もう一人の”バッジョが、オフサイドぎりぎりの所から飛び出して決めたゴールにより、決した。1−0。イタリアを象徴する、最少得点での勝利。試合前に思い描いていた、ポルトガルの個人技を生かしたフットボールは、フィールドに居る全ての選手が同じ意思を持って動くチームに沈められた。この試合でイタリアが見せたプレッシングは、今でも僕の中で最も機能したそれだと認識している。フットボールというものは、ここまで戦術を浸透させる事が出来るのだと初めて知ったし、試合を見ている間ずっと、正に口をあんぐりとさせたままでいたと思う。勿論、個人の能力を見るのが楽しいというのが僕の原点であるけれど、フットボールの戦術は、突き詰めればここまで行くのかと、感動した記憶がある。 僕が幸せだと思うのは、こういう試合を運良く見られた事であり、これによってよりフットボールに深くはまり込んでいった事だ。めぐり合いは大切で、これから初めてフットボールを見ようとする人たちにも、こういう経験をして欲しいと思う。そうすれば、少しでもフットボールの魅力に気づく人が増えて、それが日本のフットボール文化を育んでくれるだろうから。 ◇果たして来年は◇ 12.17来年の事を言うと鬼が大笑いするだろうけれど、この時期これしかネタが無いのでどうしても来期のシステム予想などに走ってしまうのをお許し下さい。 ネッドが退団して、そのポジションに闘莉王を補強するのでは無いかなどという噂がたっているけれど、実はそれは無いと考えている。と言っても、闘莉王が来ないというのではなくて、恐らく来期は今年ネッドがやっていた様なポジションが無いんじゃないかと思うのだ。つまり、リベロを置かないシステムで、ギドはチームを作るのではないかと考えている。 闘莉王の他、今補強の噂が出ているのが、清水の三都主と名古屋の酒井。複数のポジションをこなせるユーティリティは持ち合わせているとは思うが、基本的には二人ともサイドの選手。これらの選手が仮に全部入団したとすると、次の様な人員配置になる。 ◇FW:エメルソン・田中達也・永井雄一郎・千島徹・横山拓也 ◇トップ下:山瀬功治・長谷部誠・中川直樹・新井翔太? ◇ボランチ:内舘秀樹・鈴木啓太・堀ノ内聖 ◇サイド:山田暢久・平川忠亮・三都主アレサンドロ・酒井友之・三上卓哉・西村卓朗 ◇センターバック:坪井慶介・ユーリ.ニキフォロフ・室井市衛・闘莉王・小林宏之・南祐三 ◇GK:都築龍太・山岸範宏・徳重健太・加藤順大 こうして見ると、層が厚いなぁ。センターバックなんて人が溢れていて、南や小林の出番は殆ど無いに等しいんじゃなかろうか。ただし、ネッドの代役は見つからない。ギドもゲルトもドイツ人だから、リベロの難しさやチームにとっての大切さを熟知しているだろうから、そう簡単に選手を当てはめる事をしないだろう。闘莉王の事を個人的にしっかりと見たことが少ないから断言は出来ないけれど、彼はどちらかと言えばフィジカルに長けた選手で、ネッドの様な柔らかいゲームメイクが出来るタイプでは無いと思う。彼には4バックのセンターか、ドイスボランチが相応しいだろう。そうなると僕は、ネッドを切った事で来期は4バックで望むのではないかと、考えてしまうのだ。 ブンデスリーガを見ると、今3バックを敷くチームは殆どない。どこのチームも現代的な4−4−2、もしくは4−5−1で、ギドが深く関わっていたシュツットガルトも4バックだ。ゲルトの率いたJのチームは3バックが多かったけれど、彼の攻撃的な戦術を加味した3トップ気味の4バックという線が濃厚じゃなかろうか。
つまり↓こんな形。
![]() んで、超攻撃的な3バックも可↓ ![]() うーん、4バックになるんじゃないかと言ってるそばから3バックの図を描いている所に、僕のいい加減さが現れている。でもこれはこれで面白そうだ。ある意味オランダ型の美しい姿。そして、選手をどうやって配置しても、内舘や永井、そして長谷部があぶれてしまう。層が厚いのは良い事だけれど、これはきちんとした競争原理を働かせないと、逆にモチベーションの維持が難しくなるかも知れない。そしてあても無く、管理人の妄想は来年3月までひたすら続くのだった。 ◇ギド・ブッフバルト◇ 12.16遂に、オフィシャルでも発表になった。これで、ギド・ブッフバルト+ゲルト・エンゲルス体制が正式にスタートとなる。今週発売の週刊誌にもインタビューが載っていたけれど、誰もが知っている左サイドアタッカーと交渉を行っている様だし、少しずつ期待感を高めて行っている。まあ、まだチームの外観は全く見えてこないから、彼らがどの様なフットボールをするのか興味津々なのだけれど、噂に上っている選手が仮にあのブラジルから帰化した左利きだとすると、システムを構成する上で非常に興味深い。 今年、ウラワの左サイドは一貫して平川が務め、不動のレギュラーとして君臨していた。彼のスピードとバランスの取れたポジションニングは評価されるべきだし、積極的に変える要素は無いと思う。勿論、左足のキックはオモチャだから、監督によっては左サイドに左利きを置きたいと考える人もいるだろうし、ギドとゲルトもそういう考えなのかも知れない。もしかすると、来期システムが大幅に変わり、平川は右サイドを主戦場とする可能性だってある。まあ、何も決まっていない段階でこんな事を言うのも馬鹿げているけど、これがオフシーズンの楽しみでもあるしね。去年同様、オフが早くやってきたから、今年も考える時間が長そうだ。ギドは新人監督だから過度の期待は禁物だけれど、ドイツ人らしい勝負に拘ったフットボールになるのは間違いないと思う。 去年の今頃は、浦議のサッカー掲示板にある「オフト氏の勝負師的資質について」というスレで、戦術議論に花を咲かせていた。思いつきでいろいろ書いていたから、今となっては恥ずかしい様な文章も残っていたりするけれど、それもまた面白い。最近、浦議はサーバーが不安定な時があり、メインはちょっと荒んできている感じがするので、ちょっと思いつきで「戦術議論」専用の掲示板を立ち上げようかなと考えている。年内には作業しようと思っているので、ご意見のある方は是非掲示板かメールにてお願いします。そんなにスキルがある方じゃ無いから、ご期待には沿えない事の方が多いとは思いますが。 ◇トヨタカップ◇ 12.15世界最高峰をクラブを決める、トヨタカップ。最近は欧州のクラブが過密日程の中コンディションが整わず、その名が有名無実化していたと言っても過言でない程の内容になっていた。ところが、今年はACミランがチャンピオンズリーグの予選通過を早々に決めていた為か、予選最終節のセルタ戦で主力を温存し、東京へ早めに送り込んだ。どうもアンチェロッティは本気らしい。試合前に読んだ雑誌でも、コスタクルタやマルディーニらのベテラン程気合いが入っている様子で、特にコスタクルタはこの前に出たトヨタカップでよもやの失態を晒したからか、異様に勝利に欲望を燃やしている様に感じた。 コスタクルタに関して、それは無理もないと思う。ミランは常勝チームと思われているけれど、実はトヨタカップに勝利したのは1990年まで遡らなければならない。その後年93年94年と2大会連続で出場するものの、両方ともに負けている。また94年にアルゼンチンのベレス・サウスフィエルドとの対戦では、コスタクルタがバックパスをかっさらわれ失点し、更にリードされた後半レッドカードを受けて退場してしまうなど、思い出としては良いものではないだろう。だから今回、キャリアの中でトヨタカップに出られる最後の年かも知れないコスタクルタやマルディーニが、想像以上のモチベーションで試合に臨んだという予測は容易に立てられる。 しかし、彼らの思いが通ずる事は無かった。コスタクルタは自らのPK失敗で敗戦を確定させたし、マルディーニはミスこそ無かったけれど、キャプテンとしてチームを引き上げる事が出来なかった。これが勝負事だし、こうして歴史は創られていく。レベルの違いはあろうけれど、天皇杯3回戦、ウラワが駒場で喫した敗戦も、チームを形作っていく上で大きな糧になる筈だ。コスタクルタはもうトヨタカップでリベンジを果たす事は出来ないかも知れないけれど、ミランはまた違った人材がそれを果たすだろう。そして、ウラワにも同じ事が言える。悔しい思いは人を成長させるし、またクラブも成長させる。今までウラワは人一倍悔しさを味わってきたのだから、もうぼちぼちそれを糧にして上昇気流に乗っても良い時期だと思うのだけれど。 ◇終戦◇ 12.14まあ、何とも呆気ない敗戦だった。ウラワがあそこまで酷いパフォーマンスを見せたのは何時以来だろうか。立ち上がりこそ、永井のポストから幾度かチャンスが生まれていたし、山瀬がボールに絡む事も多く、重たいながらもそれなりの入りに見えた。しかし、永井にボールが収まらなくなり始め、彼もポジショニングに迷いが見られる様になってきて、明らかに体が重そうな達也も含めて効果的な縦パスが殆ど入らなくなってしまった。 後半はもっと悪くなり、前線のポジションバランスが崩れ、それが中盤より後ろの選手たちから攻撃的な姿勢をはぎ取った。リスクを冒した縦パスが出なくなり、ポゼッションは上がるものの一向に縦へのフィードが出てこない。たまにフォワードへボールが入っても、修正しきれないズレは彼らへのマークを増やし、ウラワの真骨頂である1対1の場面が殆ど創出出来なかった。確かに、湘南はフラットな3バックを高い位置に保ち、非常にアグレッシブにプレスを掛けてきたけれど、最終的なプレスはとても甘く、J1レベルのそれでは無かった。もう少し落ち着いて、相手をいなすプレーやタイミングを外す動きが出来れば、すぐさま結果は出たと思うのだけれど、昨日はそれが出来なかった。 千島が入って3トップになり、多少達也が攻撃に絡み始めるものの、今度は中盤のレジスタとして極めて良い仕事をしていた長谷部が抜けた事によりポゼッションが下がり、その時間は長くは続かなかった。延長に入ると、どうも達也のポジショニングが変で、タッチ沿いに張り付くばかりで全くボールを触れなくなる。平川がボールを持って出し所を探すものの、達也は詰まった場所で身動きを取らず、また他の選手も考えている時間が多かったのか、スタミナが切れてしまったのか、サポートのタイミングも場所も不確実だった。 昨日の結果はアンフェアなものではなく、湘南にとって正しいものだったと言えよう。優れたチームだとは思わないし、選手個々の能力も戦術的なレベルも間違いなくウラワの方が圧倒的に上だ。ただ、そんな相手に負けたのも事実であり、どうして高いレベルで安定を保てないのかを考える必要があると思う。エメルソンが居ない事を敗戦の理由に挙げる事も出来ようが、そうじゃないと僕は考えている。彼の不在よりも、昨日出ていた選手達のパフォーマンスダウンが著しかっただけで、少なくともナビスコを獲った時の状態では無かった。 オフトの戦術は、それは基本的な事をきちんとこなす事が大前提であり、だからこそその基本的な事が出来ないと少しずつ少しずつチームはズレを生んでいく。今のウラワはそのズレを試合中に解消する事が出来る程大人のチームではないし、来期はより選手達が考える時間が増えるだろう。新しい監督がどの様な戦術を採るか定かでは無いけれど、オフトが教えた基本に忠実なプレーはどんな戦術だろうが必須の条項だ。昨日の様な試合を教訓にして、選手達にはもっと自らでゲームをプランニングする方法を学んで貰いたいし、またゼリッチが抜けた外国籍には、そういう自ら考えゲームを演出出来る人材を選んで欲しい。兎に角、これで今期は終わり。 ゲーム終了後、土橋と城定がスタジアムを一週した。彼らも含めて、今期でウラワを去るオフト・ヤンセン・ネッド・小林・そしてその他のスタッフの方々には、後味の悪いゲームだったかも知れない。最後をブーイングで迎えるのは悲しい事だ。でもこれもプロの選手なら当然と受け止めていてくれると思いたいし、僕は彼らに心からありがとうと言いたかった。土橋と城定に対しては拍手やコールを送ることが出来たけれど、ここで他の全員に言いたい。ウラワの一員として闘ってくれて、本当にありがとう。 ◇マルシオ・エメルソン・パッソス◇ 12.13流石に今日はこの話題に触れない訳にはいかないだろう。昨日発表になった残念なニュースとうって変わり、今度はエメルソンの帰化話だ。 単純に他チームの外国籍選手が帰化するのとは訳が違う。呂比須ワグナーの頃は、個人的にも代表の応援に力を入れていたし、彼が帰化する事によって日本代表の強化に繋がると純粋に喜んでいたのだけれど、三都主アレサンドロくらいになるとその気持ちは薄れ「ああそうなんだ」と思う位になっていた。それ程、代表に対する考え方が変化していて、僕にとって今は代表よりもウラワの方が圧倒的に大事だ。 だから、もし本当にエメルソンが帰化するからと言っても代表の強化云々はこの際どうでも良くて、彼がウラワを愛していてくれているからこそ、そういう選択をしたのだろう事を凄く嬉しく感じるし、また将来的にもウラワと共に闘ってくれるのではないかと想像するだけで喜々としてしまう。まあ、彼がウラワから巣立って欧州のトップリーグへとステップアップする姿を見たいとは思うとか、カナリア色のエメルソンを見たいという意見も解る。だけれども。 エメルソンだってブラジル出身のプロフットボールプレーヤーだから、ワールドカップの舞台に立ちたいという思いは人一倍強いのだろうし、特に彼は自分の能力に強烈な自信を持っているから尚更だ。今ブラジルにはロナウドという怪物が居て、その後にアドリアーノという怪物二号も控えている。また、続々と怪物が出現するのがブラジルの日常だし、日本で定位置を掴んでいるエメルソンにとってセレソンを目指すという選択は非現実的なのかも知れない。また、現日本代表監督の存在が、帰化という選択に拍車を掛けたのは明白だ。その意味だけに於いては、ジーコはやはり偉大な存在だ。 兎に角、もしこれが現実になるのだとしたら、僕は諸手を挙げて喜ぶよ。あれだけチームを鼓舞して、サポーターに対しても熱く燃えるものを見せてくれて、そして結果も出してくれる選手が、逆に僕らを受け入れてくれて国籍まで変えようとしているのだから、そりゃもう頭を下げるしかないでしょう。僕は自己中だから、格好付けて海外で活躍する姿を見たいなどと宣う積もりは無いし、彼がずっとウラワの選手として活躍してくれるのならそれは望外の事だ。そして、国籍が変わろうともエメはエメである事に変わりはなく、僕たちのエメはいつまでもエースであり続ける。明日は怪我の具合が思わしくなく出場しないらしいけれど、欠場する彼のため、最後となるオフトとネッドの為、そしてグランデ・ウラワの為、今年最後の駒場をいつも以上の空間にしたいと思う。 ◇Australian Legend◇ 12.12やはりというか何というか、遂にこの時は来てしまった。ネッドが退団する事になった。数日前にネッドの文章を書き、自分の中でも彼をリスペクトする気持ちが強まってきていただけに、この事実は胸に突き刺さる。 いくら監督が決定していないとは言え、既に補強に関する話は森氏とギドとの間で行われているだろうから、今回ネッドがクビになったのは来季を見据えての事なのだろう。彼に代わる力を持つ選手を獲得する目途が立ったのか、それとも彼の様なプレースタイルを必要としないフットボールをする積もりなのか、そのどちらかだと思うのだが。サックされた理由の一つに“怪我が多い”事も挙げられるだろうけれど、まさかそれだけで切った訳ではないと信じたい。一昨日も書いたけれど、あれ程のセンス溢れるフットボールプレーヤーなんてそうは居ないし、スペクタクルなフットボールを構築するには欠かせない存在だと思っていたんだけどね。 個人的に彼の退団はもの凄くショックで、今は何も考えたくない。今年は、今まで経験した事の無い、大きな喜びを得られた非常に良い年だったと思う。だけれども、それと同じくらい悲しい出来事が多くて、精神のバランスを取るのが難しい。今のウラワを形作ったオフトが去り、それを美しく色づけし始めたばかりのネッドも去る。代表選手が増えたとは言え、ウラワはまだまだJの中では若く経験の浅いチームだ。それを良い方向に導ける選手だっただけに、どうしても残念な気持ちは拭えない。 ただ、オフトが辞任発言した時とは違い、少しだけ気持ちの準備が出来ていたのは事実で、その分精神的なショックは少なく済んだ。チームも補強に東奔西走している様だし、ネッドの退団が来期に繋がる様切に願う。そして、今期限りでウラワを去る全ての選手との時間が、少しでも長くなる様にサポートしたい。今はそれだけ。 (みまるさん、タイトル拝借しました。ご了承下さい) ◇天皇杯◇ 12.11もうかれこれ1ヶ月以上、ウラワの勝利を見ていない。実に11月8日の日テレ戦以降、勝ち星を得ていないのだ。昨年後半の負け続けとはちょっと違うけれど、ナビ杯決勝まであれだけ楽しい試合を見続けてしまったせいか、たかだか1ヶ月ちょっと勝ち星から遠ざかっているだけでかなりのフラストレーションが溜まりつつある。何て贅沢な。 そして今週末、久しぶりに駒場へ湘南を迎え天皇杯3回戦が行われる。去年は3回戦で敗退してしまう予想外の出来事が起きたけれど、今年はそんな心配は無用だろう。まず昨年と違い、エメルソンが出場する。怪我の状態は万全じゃない様子だけれど、リーグ最終節を見ても解る通り彼がチームにもたらすスピリットは想像以上のものがあり、単に強烈なストライカーというだけでなく、攻撃的な精神を保つためには必要不可欠な存在だ。まだまだウラワはチームとして完成度が高い訳ではないから、彼の様な非常に強いメンタルを持った選手がいると居ないではかなりの差が出る。そういう意味もあって、天皇杯にエメルソンが出場するだろう事は、ウラワにとって大きな事だと思う。 更に、今期ウラワは駒場で殆ど負けていない。Jとナビスコ合わせ、今年は駒場スタジアムで13試合が行われ、ウラワの成績は7勝5分1敗。その1敗も、まだエジムンド在籍時の3月15日の事であり、事実上9ヶ月近く負けていないのだ。今期の駒場は、チームの調子が良かった事もあるけれど、凄く良いサポートが出来ていたと思うし、実際ナビスコの準決勝では相手の森岡に「スタジアムの雰囲気にもやられた」などと言わしめた。こういう雰囲気が作れている時、ホームチームは強い。どんな苦境に立たされても“必ず逆転できるんだ”と信じる事の出来るスタジアムの雰囲気が、それを現実のものとする。今期、厳しい展開のゲームで、どれだけ追いついたり逆転したりした事か! また、昨年は0-1連敗スパイラルを抜け出せないままシーズンを終了し、モチベーションをコントロールできないまま天皇杯に臨んでしまった感がある。大将の引退も絡んでいたし、チームとして勝ちに行く意識統一が上手く行ってなかったとも思われる。しかし今年は、オフトの退任が決まり、ナビスコを取ったものの終盤まで良い位置に付けながら結局リーグを取れなかった事で、選手達のモチベーションも上がって来ていると思う。キャプテンの内舘はナビスコを取ってからメンタル面のコントロールに失敗した事を述べているし、その悔しさを天皇杯にぶつけてくるだろう事は間違いない。そして、最終戦鹿島に土壇場で追いついた事が、精神的に良い方向へ作用するだろう。 緒戦の相手は湘南ベルマーレ。今期、サミアコーチがトルシエ譲りのフラット3を敷いて話題になったけれど、個人的にはどの様なフットボールをするのか全く知らない。元ウラワの2人も怪我で欠場の様子だし、どんな試合になるか想像もつかない。でも、ウラワにはこんな所でつまずいている時間は無く、相手がどうであれ非情なまでの冷静さで勝ちきるのみだ。駒場で良い内容を持って勝利を掴み、それを次につなげたい。天皇杯は短い期間に行われる大会だから、その時の調子や流れがとても重要になる。緒戦は最低限勝つ事が必要なのだけれど、それ以上に内容を重視して戦って欲しいと考えている。 ◇ネッド・ゼリッチ◇ 12.10嗚呼、どうして貴方はそれ程まで美しい姿でプレーするのだろうか。背筋をぴんと張って前を見据え、流麗な仕草でボールを扱うその立ち振る舞いは、オーストラリアの至宝という形容が正しい事の証明だ。 ネッド・ゼリッチがウラワの戦力になって以降、ウラワのフットボールは確実に“深化”した。ディフェンスラインでのポゼッションアップは、間違いなく彼の存在に寄る所が大きく、彼無くして考えられない。その恵まれた体躯で優雅にボールを扱うから、ふと見れば動作が緩慢に見えたり危なっかしく見えたりする事もあったけれど、それが杞憂だという事に気づくのに、時間は掛からなかった。彼の持つボールコントロールのテクニックは、Jのレベルを遙かに凌駕したものであり、卓越した戦術眼と想像以上のボールキープ力、そしていとも簡単に40メートルのパスを通すフィード力。今期始めの頃、ボールを持ってもパスの出し所が無く怒りを露わにした事もあったけれど、それもチームに馴染む毎に薄れていった。 オフトはトライアングルという言葉を良く使ったが、今年のウラワでそのトライアングルを作るためにとても重要な役回りを担ったのが、ネッドと山瀬だ。ウラワの基本的なシステムだとどうしても中盤がフラットになり易いから、三角形を作ってボール回しをするにはフィールドの中央に位置する彼ら二人のポジション取りがとても大事で、特に後方からビルドアップしていくネッドの動きは特筆に値するものだった。ネッドの持つハレベルなスキルが、ウラワのボール回しを美しく変化させた。普段は最後方から戦況を見つめる彼が、一度チームが劣勢になればするするとポジションを中盤へと上げ、フィニッシュに絡む時間を増やす。シュートシーンに現れる事も多くなり、ファーストの仙台戦やセカンドの市原戦で挙げたゴールは、象徴的なシーンだろう。どちらも得点が欲しくて堪らない時間に挙げたものであり、そこで最終ラインの選手が流れの中から“足で”得点を奪っている所に、ゼリッチの豊かな才能が垣間見える。 そして、怪我の多いイメージがあるからディフェンス面での不安も指摘されていたけれど、フィジカルが向上するにつれ守りでの貢献も大きなものになってきた。実はフィジカルコンタクトも強く、攻撃時に発揮されるポジショニングセンスは守備でも同様に作用し、ウラワの最終ラインは徐々に高いラインを引く様にもなって行った。ディフェンスがコンパクトなラインを形成出来る様になれば、それは自動的にチーム全体がコンパクトなゾーンを形成する事と繋がり、自然と良い陣形で試合をコントロールする様になる。確かにスピードは無いけれど、その分裏へのケアは細心の注意を払い、破綻を来す事はなかった。ニキが加わってからは、坪井と3人で3バックを組む事が多くなり、高さとスピードとテクニックという3人がそれぞれの特徴を出し合って、非常にハイレベルな3バックになった。 実際、この3バックが初めて登場した瓦斯戦を僕は駒場で観戦していたけれど、ネッドが負傷退場するまでの時間、今まで見たJの試合で最もハイレベルな3バックだと感じた。ブッフバルト、ボリの時も強さは凄く感じたけれど、テクニックとスピードが融合された今年の3バックはそれをも上回るものだと思えた。だからネッドの負傷退場はとても残念でならなかったけれど、それでも今後もっとこの3バックで試合を見たいと思ったし、実際ネッドが帰ってきてからナビスコ決勝を終えるまで、ウラワは一度も負ける事は無かった。 来季、監督が変わるから未だ補強の話は本格化していない。外国籍選手を獲得するかどうかも不明だし、今期の外国籍選手が残留するかどうかすら決まっていない。ネッドの年齢を考えても、怪我がちな事を考慮しても、去就が微妙なのは間違い無いだろう。でも、僕は彼の残留を心から願っているし、それがチームの強化に繋がると信じている。少なくとも、彼の様な才能を持つ選手を獲得出来る可能性は限りなく低く、オフトが彼を引っ張ってきたのも頷ける。また、エンゲルスが京都時代、彼に対して大きな期待を掛けたのもまた、当然の事だろう。だから僕は、来年も赤いNIKEのユニフォームに身を包むネッドを夢想し、それが現実となる事を祈っている。彼はオーストラリアの至宝というだけでなく、ウラワの至宝でもあるのだ。そして今日現在、彼の元にメダルが返却されたという報道も聞かない。だったら、来年もう一度獲ればいいじゃないか。リーグタイトルと一緒に。 えー、ゼリッチの話をしたのからという訳でも無いのですが、僕が全く個人的に作った携帯用の待ち受け画面をアップします。自分用なのでサイズは小さく、形式もGIFのみですからつまらないものですが、使いたい方がいらっしゃればご自由にどうぞ。 サイズ120*130 サイズ132*144また、もし仮にこんなの作って欲しい等というご要望があれば、メールか掲示板へお願いします。気長に待てる方に限りますが・・・ ◇ワールドユース◇ 12.9内容的には互角か、やや押されていた感じの試合だったけれど、結果は日本の勝利。これで松井大輔たちの世代が完全に“谷間の世代”となってしまった。準々決勝はブラジルと当たるので、これまた厳しい戦いが予想されるけれど、若さは最大の武器なので試合毎に成長してもらって、勝ち進んで貰いたい。 そういえば、ウラワが名古屋の酒井を獲得しようとしているらしい。酒井と言えば、シドニー五輪で戦犯扱いにされてからこちら、どうもリズムが上手く回らず苦しい日々を送っている様だけれど、個人的には好きな選手の一人。非常にクレバーだし、複数のポジションをこなす事ができる。そして何より、右足の精度が高い。ワールドユースを深夜見ていて思い出したんだけれど、トルシエ率いるユース代表がワールドユースで勝ち進みメキシコ戦を迎えた時、僕は日本が挙げた2得点に歓喜していた。両方とも右サイドからのアーリークロスを本山と小野が決め、クロスを上げたのは小笠原とこの酒井だった。特に酒井が上げたボールは、距離的にも長くて正確性とスピードの両方を要求される難しいものだったのだけれど、彼は事も無げに美しいクロスボールをペナルティエリアへ送った。こうした得点は、Jを見ていてもそうそうお目にかかれるものじゃなかったから、メキシコに勝った事は勿論、その得点内容にも喜んでいた記憶がある。 名古屋に移籍して以降、慣れた右サイドからボランチへとポジションを移し、徐々に出場機会が減ってきた感がある。やはり彼は右サイドが主戦場だし、個人的にはクロッサーとして活躍して欲しいと考えている。まだ監督すら決まっていないから言うだけ野暮だろうけど、ギドとエンゲルスは前にも書いた通りクロスボールを必ず重要視するから、酒井がもしウラワに来るならばきっと活躍の場を与えられる事だろう。今の所、啓太や山瀬がオリンピックに取られるので、その代役として獲得に動いているという報道がメインだけど、僕は違うと思う。恐らく、酒井は右サイドで使われる事が多くなるだろうと考えている。まあ、妄想ですけどね。 ◇ウラワ魂◇ 12.8サッカー関連の書籍を探しに、神保町をてくてく歩く。行き慣れた某書店へと足を踏み入れると、そこには見慣れない大判の雑誌らしきものがあって、手に取ってみた。「月刊REDS系」という大きなロゴに、モノクロの田中達也が子犬の様な笑顔で収まっている。表紙を見ている内に特に僕の目を奪ったのが、犬飼代表とセータローの対談だった。犬飼氏が何を考え行動しているのか、実際の所良く解っていなかった僕にとって是非読んでみたいと思わせる特集だったから、もう迷わずレジへと向かった。 今でも僕はオフト信者であるし、彼の3年目を見たかった気持ちにも変化はない。だからと言っていつまでも現実から目を背けている訳には行かないとも思う。この本に書かれていた犬飼氏の言葉は、かなり現実的であり、即物的な感は否めないけれど、それでもウラワに対する愛情は十分に感じられるし、より大きなクラブへウラワを変えていきたいという意気込みも伝わって来た。オフト辞任の報を聞いた時にはかなり感情的になり、必要以上に犬飼氏を叩く文章を書いた事もあった。ただ今となっては少し恥ずかしく感じる面もあり、彼がこんな世界の果ての様な所で、一個人が書いている文章など読んでいる訳もない事ぐらい承知の上で、その時感情的に書いた文章に関して謝罪したい。勿論、異論を挟みたい事もあるし、この本に書かれている代表の言葉全てに納得している訳じゃないけれど。 これまで、代表を初めとするウラワのフロントが何を考え、何をやろうとしているのかが僕らに伝わりにくかった事が問題なのであり、こういった雑誌などが出てきてくれるのは非常に有意義な事なのだと思う。彼らの考えを認知出来ない事によって、無駄な邪推も生まれる。だから、クラブ会報誌の類では無く、クラブから離れた立場のメディアによってこういう情報発信がなされる事の意味は凄く大きいし、喜ばしい事だと思う。 ちょっと最近ウラワの試合から遠ざかっていて、代表の試合を見たりしていたからウラワの事を考える時間が少なくなっていたのだけれど、こういったインプットがあるとまた僕の“ウラワ脳”は俄に活性化する。取り敢えず今の僕に出来る事は、オフトとの残された試合を1試合でも多くなる様にサポートする事のみであり、残された可能性のあるタイトルを取る為にサポートする事である。選手達は、リーグを取れなかったのを悔やんでいると思うし、それは僕も同じ気持ちだ。名古屋戦の後感じた、あの打ち拉がれた気持ちは未だ回復していない。ナビスコで勝ち得た勝者のプライドを取り戻す為にも、エンペラーカップを必ず勝ち取れる様、サポートしたい。勝利を追い続ける事、それがウラワの魂。 ◇現実◇ 12.7代表なんかどうでも良いと、シーズン中は思ったりもしていたけれど、ウラワの試合が見られないこの時期、身勝手な僕は代表の試合が少し気になったりする。山田と坪井も出るしね。だから、今日はテレビの前で香港戦が始まるのをちょっと楽しみに待っていた。マスコミの言う「香港相手に大量得点で、韓国に差を付けろ」なんて論調を純粋にも信じて、香港と日本にはかなり大きな差があると思い込んで、テレビの前で待っていた。 だから、今僕は大変不機嫌な訳である。何で不機嫌かと言うと、それは香港相手に最少得点で勝利した結果に対してでは無い。勝敗は兎も角、内容に一片たりとも見るべき所が無かったからであり、昨年の9月から日本代表が“チームとして”全く成長をしていなかったのが確実に認識出来てしまったからである。出る選手によって戦術が大きく変わってしまうのも同じだし、本当に簡単な決まり事すら見受けられないのにも変化が無い。メディアの扱いすら。唯一変わったのは、お客さんの入り具合だけではないだろうか。ファンは、気づき始めている。 新監督になり随分締め付けが緩くなって、選手はやりやすくなっているかも知れない。特に、実力のある選手程、自分の思い通りにプレーが出来て、そういう人にとっては良い事なのかも知れない。でも僕は、フットボールがそういうエゴの集積の様なスポーツだとは思っていないし、何よりも規律が最重要視されるべきだと考えている。それは何も決め事でガチガチに縛り付けるといったものではなく、フットボールをする上で絶対に守らなくてはならない事をやった上で初めて、その枠内で自由を発揮するのが正しい姿なのではないかと言うだ。 確かに、今の代表は日本フットボール界全体の底上げが上手く行っている故、選手のレベルは上がってきてそれなりのディシプリンを彼らは身につけている。だから、試合になれば個人個人の能力と判断で、何とかその場をしのぎチームが上手く回っている様に見える時もあるかも知れない。だけど、やはり見る限り、チームとしての決まり事は本当に少ないと感じるし、それはフットボールチームとして正しい姿では無いと言えると思う。 トルシエが監督をしていた頃と比べ、決定的に違うのは代表選手が海外にいる時間の多さだ。トルシエが監督に就任した当初、海外でプレーするのは中田だけだったし、その後名波も後に続いたけれど基本的には国内にいる選手でチームを構築出来た。また、トルシエは若年層の代表監督も兼任し、彼の哲学を下の世代から順々に浸透させる事も可能だった。だからジーコをトルシエと同列で評価するのは難しい面もある。だけれども。 今日の試合で、相手のカウンターを受けて厳しいディフェンスに追い込まれた場面があった。自陣にはディフェンスラインの3人のみ残り、相手はボールホルダーを含め3人。数的には同等だった。ここで、宮本を中心としたディフェンスラインは3人ともがバックステップを踏みながらラインを崩さずペナルティーエリアまでジリジリと後退する。まさしくラインでカバーリングする、フラット3の守り方を実践していたのだ。宮本が指示を出していたのか判らないけれど、少なくとも坪井と茂庭はトルシエ時代に代表経験が無いのだから、宮本のコントロールでこれが行われた事は想像に難くない。少なくともジーコは、ディフェンスでは必ず一人が余れと指示しているのだから。恐らく宮本の所に森岡が居れば、また違った守り方が展開されただろうし、真ん中に松田が居れば間違いなく、香港相手ならばラインを崩してアタックに行っていただろう。これが、果たして正しい代表チームのスタイルなのだろうか。 時間が無いのは解るし、代表のスタメンを張る選手が殆ど海外に居る状況も理解出来る。それでも、チームを率いて1年以上が過ぎた段階で、簡単なディフェンス時の決まり事すら設定できない監督を使い続ける状況が、好ましいものと言えるだろうか。 ジーコはセレクタ型の監督と言われる事が多い。確かにセレクタ型と区切っておけば色んな意味で楽だろうけれど、監督に求められるのがそれだけじゃない事くらい、誰でも解るだろう。選手を呼んでシステムに当てはめ「はい、頑張って」というだけじゃ駄目なのだ。 最近僕は“哲学”という言葉を良く使っているけれど、監督になる様な人間には絶対的に必要な要素だと思う。そして監督以上に、“監督を雇う立場の人間”がそれを持たなくてはならないと考えている。 ◇ワールドユース◇ 12.6昨日の晩、ワールドユースのエジプト戦を眺めながら、彼らが予想以上に嫌らしい戦い方をしているのを見て、安堵の気持ちを持った。ああ、この年代は技術的なレベルは兎も角、それ以上にメンタルが強いんだなと感じたのだ。ウラワの長谷部はメンバーから外れているけれど、それでもウラワで見せるプレーのそこかしこに相手を上回ろうとする“熱さ”を感じるし、自信を持った素振りをする事にも長けている。そりゃ、京都の角田は熱くなっていたし必要の無いファールも多かったけれど、それでも退場するには至らず、逆に相手の9番を執拗にマークして苛立たせ、最終的には殆ど仕事をさせる事無く交代に追いやった。その他の選手も同様に、押し込まれながらも終ぞバランスを崩したプレーを見せる事は無く、すぐ上の世代が見せた精神的な弱さを、見事に払拭していると思う。 メンタル面での強さは、ほぼアウェーと言える昨日の様な環境では凄く重要であり、立ち上がりからエジプトは結構強い当たりで来ていたから負けるなよと思って見ていたんだけれど、負けるどころかより狡猾なプレーで、相手の集中を削いでいたと思う。国見の平山相太も、あれだけの身長がありながら足元もそれなりに“巧”で、特に得点の場面などはちょっと今までの日本には無いストライカーの資質を感じた。まだちゃんと見たのが1試合だけでそれも途中出場だから評価をするのは避けた方が良いけれど、それでもあのシーンでは眠い目を一気に見開かされた様な感じで、仮にあの場面が柳沢だったらと思うとぞっとする。 まあ、エジプトがずっと試合を支配していたから、日本が攻撃面で見所を作れたのはカウンターからの場面が殆どで、本当はもう少しシンプルにボールを繋いでやる方法もあったと思う。だけど、あの酷いグランドコンディションの中、繋ぐプレーが多いエジプトにミスが頻発するのは予想される範疇であり、限りなくソリッドに戦う事が出来た日本が勝利を得たのは正当な報酬なのかなとも思う。次節はその角田が出場停止で、キーマンである今野もフィジカルに不安を抱えたまま。相手が韓国という事もあり楽観的な予測は立て辛いけれど、少なくともフル代表より数段優れた“戦術”を見る事は可能な筈だし、ほぼ同じ時期に行われる日韓戦2試合の内、僕はワールドユースの方をより集中して見る事にしようと思う。 それにしても成岡君は目立って無かったな。菊池君との“ビッグマウス”ジュビロコンビは今の所不発です。コメントだけは一人前だけれど、これもメンタルの強さなのかな。 ◇ドイツの色◇ 12.5仮に、ギド+エンゲルスの豪華コーチ陣が動き出すと仮定すると、来年のウラワにはタワー型のフォワードが必須になる予感がする。最近年を取ったのか、先入観を払拭することが難しくなってきて、どうしても自分の価値観を曲げて物事を考える事が出来なくなってきてしまった。それを踏まえて。 ドイツのフットボールって、僕のイメージだと、勝つための方法を徹底的に考察し、それが決まると愚直なまでにそれを実行し続けるイメージがある。去年のワールドカップでも、大会のイメージがあるんだから、と言いたくなる程残酷にサウジから8点も取ってしまった。しかもその方法がまた見事に同じで、執拗にサイドからアーリー気味のクロスを上げて、中に居るクローゼがいとも容易くヘッドで競り勝つ場面を何回も見せられた。 去年高原がハンブルグに移籍してからは、少しだけれどブンデスリーガを見る機会も出来て、そこで見られるフットボールもやはり同質のものを感じざるを得ない。高原も殆ど足でゴールを決めていないし、ハンブルグのシステム自体がクロスボールに絶対の自信を持つ“イラン代表”マハダビキアを最大限に生かすものになっている。ロメオ・バルバレス・高原などのフォワードが得点を取る形は、あくまでも右サイドを切り崩すマハダビキアのクロスから生み出されるのであり、それ以外はおまけといった感じだ。 今までドイツ代表に名を連ねてきたフォワードを思い返しても、カールハインツ・リードレ、カルステン・ヤンカー、オリバー・ビアホフ、ウルフ・キルシュテン、ルディ・フェラー、ユルゲン・クリンスマン・・・等々、どうしてもヘッドの強さばかりが先に立つ選手達。そして、サイドにはクロスの名手が陣取り、彼らの特徴を引き出す。 エンゲルスが京都でやっていたフットボールも、やはり黒部を中心に据えたサイドからの崩しをメインとしたものだったし、ギドが現役で代表だった頃は、クリンスマン・フェラーの2トップへブレーメから素晴らしいクロスが飛び、2トップの優れたポストプレーからマテウス・メラー・ヘスラーなどのミッドフィルダーがゴールを襲った。そして、彼らはそうと決めたらとことん徹底的にやる。これでもかこれでもかと、背の高いフォワードへクロスを送り続ける。そう、得点が入るまで、試合に勝つまで。それが、僕の持つドイツの印象。 来年のウラワが、ポストワークに長けたフォワードを中心とした戦術を採ると、現時点で言う事は出来ないけれど、やはりオフトがそうだった様に欧州の指導者はそれなりの哲学を持っていて、その哲学はそう簡単に変化する事は無い。オフトも就任当初はとても守備的なフットボールと言われて、実際僕もそう思っていたけれど、今年になって彼の戦術が浸透してきたらやっぱり攻撃的なオランダの色が出てきた。だから、僕はギド+エンゲルスのドイツ哲学に期待するし、多分彼らはウラワが今まで持たなかった「勝負強さ」を植え付けてくれるに違いない。勝負所での異常なまでの強さ、それがドイツの哲学だから。 ◇日本代表の試合を◇ 12.4久しぶりに、代表の試合を真面目に見た。どうひいき目に見ても、強いとはどうしても思えなかった。選手個々の能力だけを考えれば、そりゃ十分進歩を感じ取る事が出来るけれど、それだけでしかない。フットボールって、時々刻々と変化する状況を見つつ、ピッチ上に広がる11人がどれだけ共通認識を持ってプレーする事が出来るかが重要で、多分それは他のどんなスポーツよりも、同時に同じ考え方をしながらプレーする必要があると思っている。だから、今日の日本代表を見ていると、どうしてもそんな風に見えなくて、その時々で即興的なプレーが多すぎて、見る側としては全く面白味の無い試合に感じた。 勿論、見方は人それぞれだから、今日の様な試合を面白く感じる人もいるだろうし、それを否定する気も全くないけれど、個人的には今の代表にチームとしての頼もしさや強さや愉しさを感じる事は殆ど無い。小笠原や久保の個人技は、欧州組が居ないチームを引っ張る原動力になっていたし、宮本を中心にしたディフェンスは、あの中国相手なら何回やっても点を取られる心配は無いだろう。でも逆に言えば、もっとシリアスな場面で今日の様にボールを持ちながらパスコースを探しつつ、中盤でのチェックが曖昧で存分にスペースを与える戦い方をしていたら、十中八九勝ち目は無いとも思う。 だからジーコは欧州組を中心としたチーム作りをしているのだろうし、結局彼らの力に頼るしか方法論を持たないのだろうと思えてしまう。少なくとも1年前の日本代表はもっとリアルな戦い方をしていたし、というよりドーハの時でさえもっと戦術的に富んだ戦いをしていた筈だ。でもまあ、だからといってジーコの頭の中が変わるとも思えないし、彼が他の人に替わる事もないだろうから、何とか選手はもっと自主的にやっていくしかないだろう。既に、ディフェンスラインが丸ごと入れ替わった時、ゾーンの設け方やラインの高さが呆れる程変わった実績があるのだから。選手がどれだけ出来るか。そう考えると、彼らがより成長する為には良い監督なのかも知れない。 山田と坪井は、相変わらず安定したプレーをしていた。これもウラワで1対1を強化してきた賜物かな。トルシエみたいに戦術的に厳しい要求をする監督では無いから、彼らの持つ個人能力の高さが存分に生かせる。2人ともスピードは十分にあるし、ディフェンス面で彼らの功績は大きいから、ジーコもそう簡単には外せないと思う。代表スタメンに定着して既に半年以上が経っているけれど、今はとてつも無く大きなチャンス。ウラワの選手が今までなかなか得る事の出来なかった“代表での経験”を十分積んで、クラブに還元して欲しい。当面、彼ら2人の動向を追う事だけが、代表の試合を見る積極的な動機付けだ。 ◇プラス思考◇ 12.3余りにもネガティブな方向にばかり頭を使っていたから、イライラする事が増えたのでこれからは前向きに色んな事を考える様にしようと思う。 京都は今期J2に落ちてしまったけれど、それがエンゲルスを卑下する要素になるとは思わないし、少なくとも昨年京都が躍進し天皇杯を獲得した功績は、エンゲルスに寄る所が大きいと言えるだろう。黒部とパクチソンを中心に据えた3トップを基礎とする攻撃的な戦術は、オフトが作り上げた攻撃的なポゼッションサッカーと、それ程離れたものではない。京都では、タレントの流出や怪我などで万全なメンバーを揃えられなくなった事により成績を落としてしまったが、エンゲルスの攻撃的なフットボールはよりビッグクラブに適したものだと思う。そう考えると、エンゲルスがもしウラワに加入するならば、それは本当に大きな出来事だ。 来期、もしギドが監督になったとして、彼がメインに指揮を執る事は非常に考え辛い。今まで監督経験が全く無い人間が一人で指揮を執る事のリスクを、ギドが知らない訳がないし、逆に言えばエンゲルスという優れた指導者をブレインに据える事で、ギドの持つカリスマやメンタリティーをより直接的に選手へ注入する事が出来るだろうし、更に彼の持つネットワークを生かし、GM的な要素も存分に発揮出来るだろう。そういう意味では今年までの2頭体制よりも効率的であり、ウラワにとっても優れた体制だと言えると思う。 そして、僕が個人的に大好きな“ネッド・ゼリッチ”の去就に、エンゲルスの存在が大きなプラス因子となるのではないか? という期待感がある。エンゲルスが京都監督時代、ゼリッチを引っ張ってきたのは事実だし、ゼリッチに対する評価は高い。京都では1試合の出場で帰国してしまったけれど、今でも同様の評価をしているのであれば、ゼリッチを切って新外国人を取ろうなどという思考には陥らないだろう。ギドもエンゲルスもドイツの人だから、リベロというポジションに少なからぬ郷愁はあると考えられるし、今のJリーグではあの位置からビルドアップ出来る選手がいる事実はもの凄く大きいので、多分来期もゼリッチがウラワに残るんじゃないかという期待は大きくなるのだ(かのローター・マテウスも、あのオシムが率いた事もある「パルチザン・ベオグラード」の監督に就任し、現代フットボールでは既に過去帳入りした感のあるリベロを置いたシステムで、好調な戦いをしている)。まあ、ネッドに残って欲しいのは、全く個人的な希望だから、強化の本道から逸れた話だけれど。 とまあ、昨日とはうって変わって前向きな話をしてみた。考えると、僕はエンゲルスのフットボールが嫌いでは無かったし、来年ギドがどういう風に指揮を執るかも含めて、これからは来期の展望を極めてポジティブに考えていこうと思う。それがサポーターの特権だし。また、いい加減なのが僕の長所であり短所だから。 参考までに無断リンク→京都のオートマティックシステム(Variety Football Report) ◇監督論◇ 12.2何故、ウラワの監督がギドになるのだろうか。もう、本当に馬鹿としか言いようが無い。何の根拠も無ければ、何の考えもない。サポーターを馬鹿にしているとしか思えない。あれだけの功労者に対して、今の時期、全く無経験の状態で監督として招聘することが、果たして正しいクラブのありかたなのか? 少なくとも、今年以上の成績を残さなければ叩かれるのは必至だし、でも僕らがギドを叩く事が容易でないのは明らかだ。それを見越した、稚拙な論理なのか。はたまたそんな論理すらない、カピトンと同様の思考回路が働いたのかは定かでない。 今回判った事は、ウラワが今までの歴史からそれ程逸脱したクラブへ変化した訳じゃ無いって事で、ま、今まで通りのクラブって事です。新監督に対する評価は来年すれば良い話だけれど、それを選ぶ過程は僕らサポーターに対してきっちりと説明する必要がクラブにはある。まあ兎に角正式発表を待って、それから先、クラブの対応を凄く楽しみにしている。「どうせ」と言われるか、「今年は違うな」と言われるか。果たしてウラワは変わったのか。 ◇歴史は繰り返す?◇ 12.1ほんの十数年前まで、欧州のフットボールクラブの殆どは、Jリーグのクラブと同レベルの年間運営費によってクラブを経営していた。一部の金満クラブ、特に政府の庇護を受けるレアル・マドリーや、オーナー自らがテレビマネーの先駆者だったACミランなどごく限られた一部のクラブを除いて、殆どのクラブは年間十数億円程度の予算でチームをやり繰りしていたのだ。現在のJ1チームは、平均年間運営費が二十数億円と言われている。これは当時の欧州と比べても十分立派な数字だし、恥ずべき数値ではない。だから、欧州がボスマン判決の洗礼を受ける以前は、ロートルながらもビッグネームがどんどんJリーグに来ていたし、彼らに対して失礼のない金額を用意する事も出来た。 翻って現在、欧州はテレビマネーの高騰やチャンピオンズリーグによる収入源の拡大などによって、特にビッグクラブほど十数年前とは比較にならない程の年間予算を組むようになっている。選手の年俸も右肩上がりに増え続け、今では欧州のトップクラスに対してJリーグ側が適した支払いを出来る状況では無くなって来ている。 そして、欧州のビッグクラブたちは、既に競争原理が働かなくなり、上昇が見込めなくなってきた欧州市場を諦め、アジアという新たな市場の開発に躍起になり始めている。ここ数年、異常なGDPの上昇が認められる中国や、勿論未だアジア最大の市場日本へ向けて、彼らは触手を伸ばし始めているのだ。確かに中国は、12億とも13億とも言われる世界最大の人口を持ち、経済の自由化を謳いながら圧倒的な経済成長率で世界を驚かせている。その市場は実に魅力的だ。そして、フットボールのプロリーグも始まり、人気も予想より遙かに高く、実力は既に折り紙付きだ。アジアチャンピオンシップの結果や、プレミアで活躍する中国人選手を見ればそれは明らかだろう。元々中国は50の人種を持つ国と言われ、言葉が通じない問題や文化の違いなど、それが代表強化の足かせになっているといわれているけれど、逆にクラブレベルで見れば、クラブ毎の特色が付けやすく、実は盛んになる要素は十分持ち合わせているのだ。 そして、近い将来。この市場がアジアにとっても大いなる市場になる可能性を、誰が否定出来ようか。現段階では、日本でも中国でも、欧州フットボールに対する目線は極めて卑屈で、今の所彼らに勝負事を挑んで勝とうなどと考えている人間は希だろう。欧州を崇め奉るがこそ、そんな文化のない日本でも、テレビ視聴にお金を払ってでも彼らのフットボールを見ようとするのだろう。中国でも、その潮流は止めようが無いと思う。スカパーを含めた通信事業者は、既に欧州や日本でペイパービューの理屈を完成させようとしているし、課金制度のあるテレビ視聴はデフォルトとなっていくだろう。中国の経済的発展がもう少し続けば、それは直近の未来にある現実だと思う。 欧州にフットボールに関係する富の殆どを持って行かれている現状、これは歴史の差があるから甘んじて受け入れなくてはならないけれど、彼の地で書き記された歴史が、アジアに当てはまらない事はない。恐らく近い将来、中国の発展と共に東アジア地域を中心としたフットボール文化が成熟する可能性は十分にあるし、それにカタールなど中東の金銭的に充実したリーグを含めたアジア版“チャンピオンズリーグ”などが開催され、それに対するテレビ放映権料は莫大なものになる可能性だってある。そうなった時が、ウラワがビッグクラブへと完全に脱皮する時だと僕は個人的に考えているし、その時までにまずはJリーグで盤石な地位を築いておかねばならないとも考えている。 無茶苦茶な考えなのは百も承知です。笑い飛ばして下さい。 ◇巻頭キャンペーン終了のお知らせ◇皆様、オフトへのメッセージご協力ありがとうございました。こんな辺鄙なサイトでこういう事をやって、果たして上手く行くか自信がなかったのですが、予想を上回る数のメッセージを頂き、驚いています。前にも申しましたが、来週中にどうにかコンタクトを取って、年内には文章を全て本人に渡したいと考えています。 繰り返しますが、メッセージを頂いた皆様、本当にありがとうございました。 ◇リンクして頂いたサイト様◇ ・machan's recent-diaryさん ・元ヤンパパバンドマンさん ・POSITIVE LIFE!!さん ◇15年11月30日現在・ウラワマニア管理人◇ |