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最近の日記::◇苦しいけれど、リーグを振り返る◇

 這う這うの体で重い足を引き摺ってスタンドから出て、日産のコンコースへ嫁さんと二人へなへなと座り込んでしまい、真っ暗になるまで項垂れていた。そこへ至るスタジアムの回廊でいつもお世話になっている夫妻とすれ違ったものの、目を合わせただけで言葉も交わせなかった。連れが「久しぶりだったのに、こんな顔で会いたくなかった」と呟き、胸に去来したその言葉はずっとその場を離れなかった。

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【画像】2007 Jリーグ第34節 横浜FC戦

 完全に日が落ちて急激に寒さが増してきたから、何とか自分を奮い立たせて帰路に着く。面白いことに腹立たしさとかそういう発散したいような負の感情は微塵も沸いてこずにいて、ただ体中の力が抜けて、呆けた状態が続いていた。味わったことの無い感覚が四肢を支配し、歩くのにも難儀する。スタジアムの東側を流れる鳥山川の土手を、体を引き摺るようにして歩き、地下鉄の駅に着く頃には朝からろくに食べてなかったこともあって冷え切ってしまい、何か暖かいものが無性に欲しくなった。

 地元の駅に辿り着くと、馴染みのラーメン屋へ駆け込んでいた。食べきれない程の量を注文して、無心に食べ続ける。みるみる内に体は温まっていったけれど、そして自分の胃はこれ以上無理だといっていたけれど、何故か食べる動作を止める事が出来なかった。自動仕掛けの機械のように、ただ淡々と手と口を動かし続ける。喉の辺りまで麺が詰まったまま家に帰り、熱い風呂に入ってすぐに寝床へ。何も考えたくないというよりも、何も考えられなかった。

 インターホンの音で目覚め、首をぼきぼき鳴らしながら玄関へ出向きヤマト急便から荷物を受け取る。その流れでざっと顔を洗い、もやもやした頭を必死で起こして、苦しい現実と向き合った。

 浦和は、やはりACLの決勝で絶妙にバランスしていたテンションが切れてしまったのだと思う。そこまでチームを支えていた凄まじいまでの緊張感は、ストレスや疲労を巧妙に取り去る麻薬のような存在だったのだと思うし、観るだけの存在でしかない僕でさえ、それに近しい感覚があった。年初に掲げた巨大な目標、そして浦和の夢であり続けた、アジアチャンピオンを手中にした時の達成感は絶大なもので、どこか腑抜けたスタジアムの雰囲気が最後の数試合続いたのは、それが大きな影響を果たしたからではないだろうか。口ではそんな事は無いと幾らでも言える。でも、結果はこうなった。浦和は、そんな雰囲気の中で勝てるほど強いチームでは無かったという事だ。図らずもチームとの一体感を感じてしまった。こんな風に感じたくは無かったけれど。

 そして逆に、スタンドに一体感は無かった。別にサポートは一枚岩であるべきだとかそんな風に考えた事は無いし、様々な想いがやり方混ざり合ってそれが一つの目的に向かって収束していくからこそ、浦和のスタジアムは素晴らしいものだと常々思っている。けれど、結果だけを見て振り返れば、それが実現できていたかを疑うべきであり、優勝できなかった事実よりも、最後の5試合で一つも“勝たせられなかった”事の方がより恥ずべき問題だと思う。少なくとも、降格したあのシーズンだって、Five Finalsは3勝1敗1分だった。そして、2部リーグへ陥落が決まった時ですら、僕の記憶を振り返る限り、発炎筒やペットボトルがピッチに飛んで行ったりはしなかった。その行為に思索は無い。まったく個人的な感覚だけれども、good looserでありたい。

 チームに何を求めるのかそれは人それぞれだろうけれども、僕は自分のスタンスをここでもう一度明確にしておきたいと思った。僕は、サポーターというものが、卑下しているとかそういう事ではなく、浦和というチームが存在してこそのみ存立し得るとても矮小なものだと認識している。フットボールという秀でた特技を持つプロの選手たちが属するチームは、自分の夢を投影する対象である。またそれと同時に、こちら側の勝手な思い込みではあるけれど、彼らは家族であるとさえ感じている。そういう大前提を、僕は今後も自分の胸に刻みつけていくつもり。サポートする側の人間は、チームが気持ちよく闘えるように舞台を整える。ただ、それしか出来ないのだから。

 チームの戦いを振り返ると、浦和にとってACL決勝以降の、疲労と精神的なバランスが微妙に崩れた時間は、本当に死闘と呼べるものだった。常にゴールキックのターゲットとなっていたキャプテンを怪我で欠いた事も、試合のリズムを失う一つの要因となったと思うし、今振り返ると開幕2戦目で感じた足りないピースを結局最後まで埋め切れなかったのも、リーグを失った要因の一つに挙げられるだろう。浦和が如何にこの数年間、同じ人材にサイドの攻守を頼りきっていたのかを痛感させられた。そして、達也を欠くと明らかに前線が停滞する悪癖を払拭するには至らず、やはりフットボールは深遠なるものだ。だからこそ、次への執念が沸くのだけれど。

 一年を通して、オジェックは自分なりの方法で様々に解を探し出そうとして、上手くいった所もあれば、そうでない所もあった。それは当たり前の話で、全てを上手くやれる人間なんて居る筈も無い。それで無くとも今期は難しい条件(2冠を果たしたチームを引き継ぐなんて、それ以上の成績なんて存在しないのに!)で監督を引き受けた上に、逼迫した日程でチームを作る時間すらままならず、尚且つ勝利を義務付けられた彼の苦悩は想像に難くない。それでもオジェックは浦和にアジア制覇を齎した。全てが自分の思い通りになるのならば、きっと僕はフットボールクラブを追いかけたりしていない。

 信じ難い終わり方でリーグを失ってしまった直後だから、ネガティブな想いが浮かんでは消えていくけれど、決してこの一年がそうしたシーズンだった訳じゃない。アジアを獲った、浦和の大きな夢の一つは間違いなく結実したのだし、2年連続でリーグ戦の勝ち点を70に乗せ、更に4年連続でリーグ2位以内という成績を収めた浦和レッズを、誰が何と言おうと僕は心底誇りに思う。最後は最悪なシナリオを読まなければならなかったけれど、それも含めて僕の浦和レッズなんだ。

【画像】威風堂々

 今期は、今まで出来なかった様な経験を、良いも悪いもひっくるめて沢山積ませてもらった。そして、もう一つの新たな経験を積めるチャンスが、すぐ目の前に迫ってきている。全てを吹っ切って切り替えるのは難しいけれど、ちょっとストレスの掛かる時間が長かったから、抽斗にしまい込んでいたフットボールを愉しむという気持ちを引っ張り出してきて、世界へ挑むチャンスをものにしたい。

 だらだらと書き殴っていたら、やっと精神状態が落ち着いてきた。嫌なことを忘れようと考えるのを止めるより、苦しいけれどそれをなぞっていった方が即効性のある治療薬になるのが解った。何、ショックは大きいけれど、人間は忘れる動物だからね。何より僕は、浦和馬鹿だし。

コメント(3)

コメント560no

こんにちは。
この心の状態で、よく書いていただけたと思います。
私たちが選手より早く立ち直らないと、選手に申し訳ないですよね。
それがサポとしてチームに対してできる貢献の一つだろうと思います。
まだきついですけど(悲)。
でも、がんばってみます。

  • URL
  • 2007/12/03 10:26
コメント561mitsu(みつ)

こんにちは
最終戦のサポートご苦労さまでした。

ACL捕った瞬間からリーグ戦はなんとかなるだろうと、気を抜いていた自分がいました。
TV観戦もせず、録画ですませていましたし・…。

色々考えさせられた1年でしたね。
リーグ戦の厳しさを思い知らされました。当面のライバルであった、ガンバの失速を2年連続を目のあたりにして、年間を通して戦う厳しさが分かっていなければいけないはずなのに…。
軽々しく、3冠など言ってはいけないのだなと思います。
Jリーグを舐めたらいけません。

一歩ずつ鹿島のもつ10冠を越えるように努力しましょう。

数年後に振り返った時、この敗戦によりチームが逞しくなったといえるようになりたいものです。
J2降格でさえ、今のレッズの血になってるはずです。

鹿島や磐田がJリーグで残してきた実績を浦和はまだ残していません。 それにチャレンジできる地位を手にしただけですよね。
なのに、自分達が何かを達成したかのような感違いを少なからずしていたような気がします。

  • URL
  • 2007/12/03 13:01
コメント562うら@管理

>noさん
まだ立ち直れてません(笑
というのは半分冗談半分本気ですが、仕事が始まっちゃうとなんか有耶無耶になっちゃってます。
頑張りましょう!!

>みつ(mitsu)さん
気を抜いたのかは判りませんけど、今振り返ってみると、最後の数試合は「目の前の相手に勝つ」んじゃなくて、「優勝しなきゃならない」みたいな強迫観念すらありました。もっとシンプルに、試合を闘う必要があったのかなと個人的には感じています。

確かに、磐田や鹿島の残した実績にはまだまだ遠く及びませんからね。これから、より頑張らなくてはなりません。

  • URL
  • 2007/12/05 19:32
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  • 何をもって彼が火の玉なのかは知らないが、たぶん、本当の著者のセンスなのでしょう。それは兎も角、想像通りだった行間の広さだとか文字の大きさは全然気にならず、ただただ、このタイミングで暢久の書籍が出てきたことは、僥倖としか言えないではないか。
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  • アジアを制した結果、世界への挑戦権を得られた2008年。ミランとの差は得点差以上に歴然としていたと思うし、エトワール・サヘルにも苦しめられた。だけど、ここで戦えたことはかけがえのないクラブの財産となる。いや、しなければならない。
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