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最近の日記::◇アルパイ・オザラン◇

 昨日のエントリは本当にタイミングが悪かった。ここ数日流れていた、アルパイが退団するかも知れないという報道など全く意に介さず、そんな事がある筈無いと口笛を吹きながら前夜書いた文章をちょっとだけ手直しして、昼休み前の就業時間中にアップした矢先のこと。その内容通り、仕事中にも関わらず僕はネットを徘徊していて、そしてそこへ飛び込んできた「アルパイ契約解除」の文字。


 驚いた、というだけでは自分の気持ちを表現しきれる訳もなく、普段ならばこうして突然起きた出来事の場合すぐに受け入れるのは難しいのだけれど何故だか昨日はすんなりと理解できて、続けざまに怒りと悲しみと情けなさと、様々な感情が綯い交ぜになって襲いかかってきて一気に胸の中が一杯になり、嬉しいときのものとは全く別の興奮状態に陥ってしまい、脈動は烈しく早くなって、危うく会社の備品をそこかしこへ放り投げてしまいそうにすらなった。


 周囲に気取られない様注意しながらも、他に何か情報は無いかと、もう放っておけば画面に吸い込まれてしまうんじゃないかと思うほど必死に、ネット上に落ちているかも知れない何かを追い求め、そうする内に時間は昼休みに入ってしまい何も知らない後輩が食事へ行こうと声を掛けてきたから、多分とんでもない顔をしていただろうと思うのだけれどそのまま声がした方向を振り返り、はっと気づいて表情を何とか緩めて、気を静めようと食事へ出る事にした。


 駅の至近にある定食屋へ赴き、余り綺麗とは言えない引き戸を開けようとするといきなりドアが勝手に開いて、その古びた意匠と自動ドアとのアンバランスさに違和感を感じつつ中へと入り、全く食事の味を感じ取れずにずっと彼の事を考え続けた。


 日本に来て早々、体内に貯蔵する熱量の豊富さを感じさせてくれたアルパイは、その迸るパッションと同等かそれ以上の素晴らしいパフォーマンスも併せて見せてくれて、外国籍のディフェンダーを好む傾向が強い僕は、瞬く間に魅せられてしまった。ボールを蹴る、止めるという基礎的な面がとても鍛えられている彼は、多少劣る走力を他の技術であっさりとカバーし、昨今のJではとんとご無沙汰だった“ワールドクラス”とはなんぞやというのをずっと表現し続けてくれた。


 欧州に組み入れられるトルコ代表で84キャップを誇り、批判の矢面に立つ事も少なからずあったアルパイは、逆に言えばそれだけ目立ちチームの中心として活躍してきた事の証であって、ウラワにいてもその輝きが鈍る事はなかった。深いタックル、正確なフィード、高い打点と的確なポジショニング。こんなレベルの高いディフェンダーを見たのは何時以来だろうか。アルパイが加入してからウラワのディフェンスラインは急激に安定感を増し、ビルドアップの精度が高まり攻撃面でも利いたプレーが幾度も見られた。


 アルパイのハードなプレーは彼が持つ自信の現れであると今でも思っているし、確かにその激しさは傍目から見れば汚さと紙一重に感じるかも知れないけれど、一つ一つのプレーには正確な技術が秘められていたのだと僕は考えていて、だからこそ彼を追いやる先鞭を付けた日本一下らない奴はどんな事があっても許せず、馬鹿な判断を下し続けた奴らには天誅をと願う。


 気づけば、一人箸ををきつく握りしめていて手は震え、目線はぼんやりと宙を追いしていた。何でこんな事になっちゃうんだろう。どうして、求め合うもの同士が引き離されてしまうのだろう。馬鹿な。味が良くて評判の高いこの定食屋で食べたこの日の焼肉定食は、いつもより割高な感じがした。



 日付が変わり、少しだけ落ち着いた今考える。退団してしまったものは仕方がないのだから、僕らを愛してくれたアルパイを盛大に送り出し、彼の未来を願おうと、そうした方向に頭が動くのかも知れないけれど僕は当分そうはならない。なりたくもない。


 どんな美辞麗句を並べ立てた所で、その言葉たちが比較的に冷静で論理的で的を射る表現であったとしても、それが僕の心にざわめき立つものを鎮めてくれる事はなく。確固たる大人ならば、こうした時でも落ち着いた思考回路を用いて自分が何をするべきか考えを紡ぎ出せるのかも知れないけれど、残念ながら僕はそこまで出来た人間ではないらしく、ただただ怒りと悲しみと、動悸が速まる感じと、昨日感じた様な気持ちは今でも同じように現れてくるし、多分そう容易には消え去ってくれないと思う。


 フットボールクラブを応援するのは、こういう事なのだ。絶対に自分の思い通りになんかならないし、どちらかと言えば嫌な事の方が多いかも知れない。喜びと悲しみと怒りと嘆きと、そうした人の心に浮かんでは消える幾つもの感情を個人で抱え、気の合う仲間で共有し、時にはチームと同化してそれらを分かち合う事こそが、サポートなのかも知れないと考える。勝利して喜びに浸るひとときは、ただの副産物だ。


 今日の様な、どこへもぶつけようのない怒りの感情を、わざわざ落ち着かせたり切り替えたりする必要は無いと僕は考えているし、逆にそうした個々人が持つエネルギー(正であれ負であれ)をスタジアムで最大限に放出すれば良いと思う。そうする事が、スタジアムの混沌をより大きな力に変化させるのだと僕は信じているし、もう何があっても恐くないしあいつの為に絶対勝ってやるといういわば不埒な考えが、また新たな渦を巻き起こしてスタジアムを巻き込んで行くに違いない。


 頭の中に霞が掛かり、やっぱりぐちゃぐちゃなエントリになってしまった。書く前から想像は出来た事だけれど。そして、彼に送る言葉などまだ見つかる筈もない。余りにも、時間が無さ過ぎるよ。


↓ここから続き

コメント(3)

コメント190見沼鰐

なぜか読んでいるうちに泣きました。なぜ今頃なのか自分でも分からない。我々が失ったものは、選手であるだけでなく、レッズの大いなるサポーターだったのです。今頃、そのことが分かりました。

  • URL
  • 2005/07/02 00:39
コメント189うら@管理

昨晩は返答もせずに失礼しました。一応、勝手ながらコメントを削除させて頂きました。
見沼鰐さんが仰るとおり、アルパイはサポーターでもあったのかも知れませんね。とびきり大きな。

  • URL
  • 2005/07/02 23:50
コメント188まさみつ

アルパイ解雇は残念ですね・・・僕も好きな選手でした。ハートとがある選手、いや人間がいなくなってきた日本で、彼のように情熱的な選手は心の渇きを癒してくれる珍しい存在でした。

う~ん残念です。

  • URL
  • 2005/07/03 18:15
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レッズのアルパイ選手が退団しました。大好きな選手だったので非常に残念です。
7/3アルビレックス戦でのMATCHDAY PROGRAM、清尾さんのコラム「世界標準」でのアルパイの話が話題を呼ん.....

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ずいぶんご無沙汰になってしまいました。先週はチョット仕事が忙しくて(主に精神的に・・・) で、今日の夜は久々の浦和の試合! 幸せな週末の過ごし方が帰ってくるわけです。...

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  • 2008年、浦和にとってそれまでの年と一番異なったのは、アジアの舞台での試合が組み込まれたこと。その緒戦、ペルシク・ケディリをホームに迎え3-0というスコアであっさりと下し、その道のりの遠大さに気付けなかったのが、今となってはもう懐かしい。
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  • 最近浦和を好きになった人は、ほんの数年前、浦和がセカンドディビジョンで戦っていたなどと信じられないかも知れないし、自分としてもその事実はどんどん記憶の中から消え去ろうとしている。知らなくても良いのかも知れないけど、知っておくべきだとも思う。
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